書物蔵

古本オモシロガリズム

帝国図書館における発禁本について

  • 大滝則忠「戦前期出版法制下の図書館」『参考書誌研究』(2) p.39-53 (1971.1)

読了。
当時の最先端の研究ではあったろう。出版法制については当時の水準および価値観なのでもはや使えず。概念整理も不足。たとえば「普通出版物」と云った概念を注釈なしに使っている。ただし、この論固有の部分、つまり国会図書館の禁止本コレクション(禁閲本)については有用。禁函、禁安、禁風、秘、その他(和装の禁閲本、治警処分後に閲覧禁止になった図書)らの資料群。でも帝国図書館の資料群全体の知識がないと理解不能では。

  • 大滝則忠、土屋恵司「帝国図書館文書にみる戦前期出版警察法制の一側面」『参考書誌研究』(12) p.14-32 (1976.3)

読了。わかりづらさがどこから来ているのかというと。帝国図書館の蔵書形成史なのか、帝国図書館における発禁本の取り扱いなのか、どっちつかずなのが原因とわかる。だから、「別括物」が雑誌なのか簡易出版物(乙部)なのかどっちつかずの記述。