書物蔵

古本オモシロガリズム

ブラタモリ

このまへのブラタモリに古地図収集家が出てきたといふ。
そんで、公共図書館としてはほぼ唯一ではあるまいかと思へる地図図書館、岐阜県立図書館の地図センターになんと!地図を寄贈してをられるといふではないか!!!
びっくりしたですら、さやうな奇特な御仁がをられるとはとは。
で、調べたら、つぎの本を書いた人ではあるまいか。
江戸時代古地図をめぐる / 山下和正. -- NTT出版, 1996.3. -- (気球の本 Around the world library)
じつは神保町の東京古書会館を設計した人であるらしい。
で。
わちきは寄贈という美挙やいきつけの古書会館設計者ということをここで述べたいのではないのぢゃ。
実はこの方こそは、前近代の日本のいろんな地図を分析的に記述できる人なのではないかとひそかに思うてをるのぢゃ。
といふのも。
前近代をやってゐるひとって、きちんと近代の枠組みで捉えなおしてくんないことがおほい。とくに趣味系、たとへば古地図コレクターとか。
なまじ、江戸の人々と今の人がおなじニフォンゴをつかっている(かのように)思われているから、江戸時代のさまざまな地図を今ふうにいひかへてくんないことがおほい。
たとへば。
「江戸切絵図」といふ種類の地図が江戸期にあつたが、あれって、いまふうにいへば、区分された都市地図だよねぇ。
ティーマップ。
切絵図を出してきて、これは何ですか?ととはれた場合、「これは、city mapですよ。都市地図」といふてくれるような専門家ってあんまいない。「キリエズですよ」といはれてしまふ。
上記の山下さんの本では、地図の種類ごとに日本固有の名称に、併記して英語がかいてあって、それが前近代の地図をきちんと認識するのにとてもやくにたつのだわさ。