書物蔵

古本オモシロガリズム

ここ10年、古本屋の有為転変について

岩波PR誌の図書に古本屋ネタがあった。
岡崎武志「古本めぐりはやめられない」『図書』(737) p.20-23 (2010.7)

この十年で、古本業界に地殻変動があり、あまりめまぐるしく店が消え、あるいは目録やネット販売専門に営業形態を鞍替えし移転していくため、情報の更新が追いつかないのだ。とくに、新幹線が停まるような地方都市の駅周辺の凋落が甚だしい。

氏は、かつて1990年代の古本屋紀行を『彷書月刊』に連載していたが、それを単行本にした段階でチェックしたら、1/3が閉店かネットに移行していたとのことだったそうで、「それからまた四年たち、おそらく半分は無くなっているだろう」という。業界では、これまでの全ジャンルをまんべんなくそろえるやり方ではダメで、サブカルなど特定ジャンルに特化し、新規客層(例.若い女性)にアピールしないと続かないという。
これに似た話はこの前、セドローさんにも聞いた。なんかトンガッタ部分を持って突然参入したほうが、神保町で修業するよりも、現在はよいのだそう。むしろマイナスになりうるとも。もちろん、それなりの目算がなければ続かないだろうけれど。
実は古書店経営に関する実数というか係数ってのはほとんど文献になっていない。むしろ定性的な記述ばかりである。その意味で鹿島先生の、ソシオ・イストリックな連載に期待しちゃうのだ。
あたかも少し前、南部古書会館で古本屋開業指南があったというが、うーん、なかなかむずかしいのでは。金沢の「あうん堂」さんみたいに、古本はいろんなアイテムのひとつとしてやるとかなら大いにすすめたいけど。
そんななかで「コーヒーは出しません」の貼り紙を出していた金沢文圃閣の店舗はえらいなぁ(もちろん、いかにもコーヒーが出てきそうに改装してあったからなのだが)。

とっておきの古本屋話
http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20050418/p1