書物蔵

古本オモシロガリズム

書誌に強いは…

またまた畏友が図書館史ネタをコソーリupぢゃ(^-^*)
いろいろおもしろ人物が「柳田國男に群がる図書館人(2006/04/14)」と題されて。柳田國男の『炭焼日記』の引用じゃ。あんまりありがたいので一部引用させてもらうなり〜

(昭和20年)8月19日 中田邦造君来、先日の本は四千何百円に買ふといふ。都の役人の一向働かぬといふ話をする。

大政翼賛会に参加した国士の中田邦造。戦後も妙にウケが良かったけど,この疎開のカネがらみですったもんだが生じ…
うん,これは戦後の話だった。むしろ戦時中の読書運動これまでとりあげた東田平治堀内庸村佐藤忠恕など,に興味があるのじゃ。そして資料も着々と集まりつつあり。
戦後から一面的に非難するんじゃなくて,当時の彼等を降霊させて,当時の論理を蘇らせてみたいと思っておるのじゃ。

(昭和20年)11月20日 夕方中田邦造君来、萩山四郎君同行、京城図書館長を三十何年して居た人、にげてかへる、年六十三。

この荻山四郎ってのは,手許の,石井敦『先賢事典』*1によれば「荻山秀雄」のことと思われる。下の名がちがうのは柳田くんの取り違えか? 戦後も協会の顧問までやったとあるのに,なぜだか没年が不明だし,生年も(上記,柳田くんの日記から)1883,4年だと思われるのに(先賢事典では)1911年とある。不思議じゃ。戦後はすっかり影が薄くなっているのは「にげてかへ」ったせいか (・∀・) ?

(昭和20年)12月28日 大藤時彦氏来、家族を因幡からつれてかへつたといふ。国際文化振興会は当分休止、今進駐軍の図書係を助けてゐるといふ

畏友は,「進駐軍の図書係」をCIE図書館に比定してをるが,わちきも賛成なり。
大藤時彦(おおとう・ときひこ)ってのは(わちきが注目する)大橋図書館に勤めてたと畏友はいうが知らなんだ。『先賢事典』にもなし。民俗学では有名な人なんだろうけどネット上には略歴なし。この人,東洋文庫の『山島民譚集』の編者みたいだけど,そういえば『山島民譚集』って紀田順一郎さんの『古本屋探偵…』に出てきてたね。本そのものじゃなくて,(戦前版の)その本の(帝国図書館の)目録カードの配列がマチガッテル,て話だった。
うーん,書誌に強いは何でも強いなり〜*2

*1:簡約日本図書館先賢事典 : 未定稿 / 石井敦編著. -- 石井敦, 1995 これは非売品で入手至難。しかるに図書館史必携の本ぢゃ

*2:もちろん,紙メディアの書誌に限らんが。ただ,紙の,一覧性のある書誌は教育機能ばっちしに比べ,サイババ?ライブラリアンがopac上の書誌を使いこなしているかというと,ネズミみたいにスティミュラス&レスポンスしてるだけだったりする。