書物蔵

古本オモシロガリズム

古書展3つハシゴ! 五反田で青木実

今日は古書展ハシゴの日。五反田・神田と,あともう一つは藤沢!
藤沢ななぜだか専門的古本屋が(地方としては)たくさんある不思議な都市。今回,それらがあつまって昨日から古書展をひらいてるみたいなのだ。
それはそうと…。
まずは五反田へ。
9:30ちょっとすぎに到着できました。
やっぱりオヤジッチたちがたくさんたくさん。
異様なり… といってもわちきも似たようなもんす。
さてさて,ガレージ均一をアサろうかな,と…

ガレージで

ギョエー! のっけから図書館本200円×2
加藤宗厚の分類法と,日本十進分類法6-A版
日本十進分類法 / 森清[他]. -- 新訂6-A版. -- 日本図書館協会, 1951
まあ,そんなすごいもんじゃないけど,国会図書舘のデータがかなりの部分(古い部分は),6版でつくられているので,わちきみたいな古本ずきが分類データを読解するときには必要になるのだわん。この次の第7版が普及しなかったのは図書館政治ネタだとまえに話したけれど,なんのことはない,国会図書舘が7版を使わなかったということが主たる原因なのだわさ。7版は1960〜70年代のドキュメンテーション(文献管理法)の興隆をうけて,項目や体系をより論理的に整理した使いやすい表だったのだが。
ついでに『著作権関係法規集 昭和31年版』(日本著作権協議会)を拾う。200円。わちき著作権法ばやりが嫌いなんだけど,なんでこんなの拾ったかといえば,これ,単独法としての「著作権法」の祖述でなくて,関連法規の抜き書き集なのだからなのだ。
納本法規として国会図書舘法の一部が,そして,これはあんまり一般に知られていないんだけど,地図の著作権という項目には「測量法」の一部が引かれている。
日本法というのはへんなもんで,各種の単独法が乱立し,そのうえ個々の条項がテンでバラバラの事例に個別に摘要されるから,どーゆー状況にどの法のどの条文が関係してくるかってのは,自力ではわからないのだ(とくに些末な行政法は所管の役人に聞くしかないねぇ)。
だから,こんな本が役に立つ。
著作権がとっくに切れた地形図をコピーしようとしても,国土地理院の許可がなきゃダメって止められちゃうことがあるのだ。その根拠が測量法に,って,著作権オタクじゃなきゃ知らんわいね。

会場で

そうこうするうち,開場待ちの列が動き始めたので,すわタイヘン!
とわちきも突撃〜だす(`・ω・´)
まずは図書館本を拾ったのと同じ書店のとこを見るも… なし(´・ω・`)シ
では,と月の輪さんところへいくと…
ん,読書論の棚があるなぁ あれ? これは何? 読書論ぽくないけど…
キタ━━━━ヽ(^∀^ )ノ━━━━!!!!
満鉄図書館本!!!
外地・内地 / 青木実. -- 作文社, 1993.5
3000円でガラのわりにはチョト高かったんだけど,すかさずゲット。限定200冊と奥付にある。限定200部の私家版。
図書館プロパーの話はあんまないけど,図書館史好きには十分おもしろい。満鉄図書館にいた柿沼介(かきぬま・かたし)が国会図書舘の図書館学資料室をつくった,なんてこともちょろっとでてくるし。
ここでは,右翼通の畏友オタさんに敬意を表して,満鉄の東京支社の受付をしていた時の話をちょっと引用しよう…

満鉄に入ったのは大正十一年六月,日給四十五銭であった。会社は馬場先門の商工会議所のすぐ後ろの赤煉瓦三階建てで,最初は経理課の給仕で,次は二階の庶務課受付だった。記憶に鮮かなのは,毎月定った日に,右翼,アナキストを問わず,二,三十人やってくる日があった。中に野依秀市などもいた。その日だけ出社する嘱託の小林源十郎という顔役が,一人一人応接室に呼びこんでは相手に応じて金額を変え,金一封を握らせて帰すのであった。(p.199)

なんか総会屋対策みたい…
五反田ですっかり気をよくしたわちきは,不図おもひたち,国鉄京浜東北線にのりこみ藤沢へと向かったのであった…