書物蔵

古本オモシロガリズム

台風一過で図書館本掘り出し!!!

たいへんたいへん!
古書会館に入ったら左の方へ歩いていったんだけど、これがドンピシャ!
まず最初にこれが目に入ったのが勝因でした。

昭和20年代のレファレンスの教科書みーっけ(^-^*)

考査事務のあり方について. -- 国立国会図書舘一般考査部, 1951.1. -- (考査事務参考資料 ; 第13号)  300円
このまえ、日本のレファレンスの父,シチカクロウの本、レファレンス / 志智嘉九郎. -- 日本母性文化協会, 1954 というレア本をゲットしたことを紹介したけど、よく考えたらこの本の方が早いね。まぁでもこの本、翻訳本だからやっぱシチさんのほうが日本原産のレファレンス論一等賞かな?(もちろん毛利宮彦波多野賢一とかの戦前派もいるんだけどね、あれは単行本じゃないから)
それで、この本をみた瞬間に、古本の山をひっくりかえしはじめたのだわさ。そしたら…
斎藤, 毅 (1913-) ‖サイトウ,ツヨシ って人の旧蔵のもの。雑誌類の端本が結構ある。(^-^)
これは! と思って見ていたら,横から白髪のおじさんがモー然と突入してきて,わちきが( ゜Д゜)ポカーンとしている前でモーレツに小冊子の山をめくり始め,内閣文庫のパンフとか持ってちゃいました…
あんなふうに我欲をむきだしにせねば取られてしまうのですねぇー
それはともかく。
あんなにちっちゃきになってたおじさんは去ってしまいましたんで,丁寧にみることにしました。すると出るは出るは。うはうは(^-^*)
特に…
このひと,本に書き込みを(少し)する人だったみたいだね。T.Saitoって表紙にあるのもある。この書き込みがオモシロイかと。
〜〜〜(しばらくブログをほっぽっとく)
('0'*)ほへー,コメントで誰だろうという声が。図書館史話にもってこうと思ったんだけど,とりあえずこの人のことに変更。拾った物に答えさせよっと。史料をして語らしめん(^-^*)

斎藤毅の略歴

図書館短期大学紀要』(1978)に「故齋藤毅図書館短期大学長の人となりと業績について」という文章がある。服部金太郎(図書館学者)が書いてる。末尾の経歴を要約すると…

大2生 昭12東京帝大国文科卒 昭13仙台幼年学校国漢科嘱託 昭14陸軍教授 昭16建国大学助教授 昭22衆院嘱託 昭22国会図書舘事務補佐員 同年司書 昭45副館長 昭48図書館短大学長 昭52死去 同年従三位勲二等瑞宝章

このヒト国文の人だったんだ… 戦前は国文とか文系の人が陸海軍の学校で教養を教えるってことがあったんだよね。たしか芥川龍之介もそうだった気が。仙幼はたしか大正期の軍縮で廃止されてたのが,昭13年に復活したんだった。新しくできた学校があったんで大卒ですぐ教員に,国文に人にとってこれは超うらやましいのでは。
渡満もしてるね,有名な建国大学。五族協和ですな。シベリヤ送りになってないことからすると戦争末期まで民間人のままだったと思う。
国会図書舘では入ってすぐから課長職をしているなぁ(上記では略した)。国文とは無関係な閲覧系とか収集系とか。乱脈事件のあった昭和33年にはまださほど偉くない課長職だったのが幸いしたんだね。まきこまれずに偉くなれました。この人,運がいい。
金太郎氏は文中で,齋藤氏を「生粋の国立国会図書舘人」とし,

いずれ,国立国会図書舘で,その歴史を編さんする時には,図書館人としての齋藤毅先生の業績については,数十ページを費し[ママ]ても足らない位のものがあることは確かである

と,手放しの誉めよう。でも手許にある『国会図書舘三十年史』(昭54)にはそんな部分ない(´・ω・`)
金太郎氏にとっては齋藤氏こそが初代の専門職副館長らしい。

創設以来,20年を経過しても,副館長の職は図書館人をもってせず,外来よりの輸入人事をもって埋めてきた先例を破って…

ふーん。中井正一中根秀雄,岡部史郎は金太郎さんにとってはみんな外人なわけね…
金太郎氏はさらに自分の同窓の戸引達なる人物から次のように聞いたという。

「総務部で会議をしている時に,いつも目立っていたのは齋藤君である。自分は総務部長ををやめる時,齋藤君を後任に推薦したのである」

帝大出の国文学徒が,国文学で教授にまでなったのに,歴史の変転でなぜだか図書館屋となった。そして,これまたなぜだか事務次官まで昇りつめた。そしてさらに短大の学長へ。
けど結局彼の業績は次の本に要約されるのだろうか。
『明治のことば:東から西への架け橋」講談社 昭52。これについても記述が

本書は,また国立国会図書舘時代からの研究ノートを整理された物で,講談社に渡された原稿のかなりの部分が,時期出版の分として割愛されたという。
ゲラ刷校了は入院先の大塚病院で悪性胃しゅようがかなり進行し,肉体的苦痛も激しい時に相間[ママ]をみて行われたものであると遺族の方からお伺いしている。
出版されるのを心待ちにしていたが,遂にそれはかなわなかった。先生の死後,予定より1ヶ月余りおくれて筆者も新宿紀伊国屋書店で,これを入手することができた。何回足を運んだことか。

この本は知らんかった。ソウゴウマサアキの『明治のことば辞典』なら知ってるよ。いろいろ使ったけど,面白かった。買おうかと思ったくらい。ことばの来歴(とくに明治初期)はオモシロイ。近代日本の基本語彙があそこで決まった。齋藤さんの本は面白いかなぁ?
とりあえずここまで。齋藤氏旧蔵本の内容についてはまた。