書物蔵

古本オモシロガリズム

昭和平成古書価の研究:二流の本が高い

蔵書の整理をしていて思いだした。この前(2年前)の引越しの時にも古本屋へ持ち込みしたんだった。たしか,西洋史関係を神田の南海堂へ。
そこで面白いことあったよ。本を何十冊かもちこんだら,店の人(店主?),横にあった売らない本を指して「これは,売るんですか?」
欲しそうだったけど,断った(笑)。
ラクレイオス王朝時代の研究 / 杉村貞臣. -- 山川出版社, 1981.2  
いま,「日本の古本屋」をひいたら,学園都市古書センターで8000円 だって,どひー! このスギムラ・サダオミさんの本は,出た当時,一橋大の渡辺金一(ナベキン)が,書評でこてんこてんにけなしたもの。その書評,わても読みましたよ。ま,あんなに解りやすくけなすことはないと思うけど(どうもナベキン氏の性格に難があったらしい),批判している内容は,正しい。
ニキウーのヨハネス(John of Nikiou)による年代記を見てないだろう,とか,ストラトスの薄い二番煎じだとか(ってワケワカランか(笑))。ただ,まあ,国内でストラトス(の英訳でも仏訳でも)を読んだことがある人間って,10人いないんじゃないかな。どーでもいいけど。あ,ヘラクレイオスってのは皇帝の名前。カルタゴ出身のアルメニヤ人で,ペルシャ遠征で「“本物の”十字架」を取り返した人。彼の王朝はちょうど西暦の7世紀にあたる。
そんでストラトスギリシャの政治家にしてビザンチン史家)の本…
Stratos, Andreas "Byzantium in the seventh century" 5vols. Amsterdam : A.M. Hakkert, 1968- なぜだか持ってます。ビザンチンの最暗黒時代が詳細にわかります。すばらしー
えーと,話をもどすと,サダオミ本は,学術書としては二流なわけなんだわさ。
一方で,ナベキン先生の超一流本『ビザンツ社会経済史研究』(岩波書店)はといえば,なんと,3千円台で買えるじゃないですか。この本は,わての古本生活で最初の探求書だったんだす〜,涙でるよ。栄枯盛衰夢悲し…