書物蔵

古本オモシロガリズム

岡田ナラウの見た稲村徹元

最後に編者稲村徹元君についてひと言。稲村君は駒沢大学を出て直ちに国立国会図書館に勤務された。尊父坦元先生の御薫陶のたまものか、少年の域を僅かに脱したかと思われたその頃から既に書誌的で、何となく大人びた頭でっかちの感があった。それから十余年、漸く頭とからだとのバランスが整った形で、今日では書誌に関しては一家の言を有する立派なビブリオグラファーになられたことに心から敬意を表する。私が切望しなくても、これからつぎつぎと立派な書誌を作られることを信ずる次第である。
昭和37年6月27日
国立国会図書館
司書監
岡田温