書物蔵

古本オモシロガリズム

立花書房

「沿革」とか「会社概要」といったページがある。
http://tachibanashobo.co.jp/company/index.php

沿革
明治34年 松華堂書店(前身)創業
昭和20年 故 橘 嶟 会長 立花書房創立「時事問題研究」創刊
…(以下略)

ただ、大抵はすごく簡略なもんで、創業者のプロフィールとか、事業上の事件とかの詳細はわからないことがほとんど。
とゆーことでしらべてみた。まづハ創業者。日外の『現代物故者事典1988-1990』をみると、「
橘 嶟 たちばな・たかし 立花書房会長」と出てくる。1907.2.20-1988.10.27で静岡県出身。1932年東大法卒とある。
これ以上は文圃閣のアレを使う。すると「東大法科卒業後、父横尾留治氏が現在地〔錦町〕に於いて個人経営せる松華堂(出版)に入り」とある。「実父横尾」ともあるから、横尾は橘に養子に入ったのかしらん。
創業はHP沿革に「明治34年」とあるがciniiにもサーチにも出ず、ハテと思ふたら、ちゃーんと「日本の古本屋」でウラがとれました(書名から再検索したら、「ことわざ研究資料集成 第12巻」として復刻あり)。

  • 新撰俚諺集 / 松村桑蔭編、松華堂、明34、1 加能屋書店 ¥1,200

松華堂の創業者はおそらく、草刈, 融 || クサカリ, トオル という「法学士」さま。初期の本の奥付にこうある。

発行所 東京市神田区錦町一丁目十二番地 松華堂
著作兼発行者 草刈融 東京市牛込区北町三番地

でも次の本の奥付を見くらべると、明治43年ごろ、経営者が草刈融から横尾留治に代ったようである。

  • 簡易法学通論草刈融 著.松華堂,明42.11.
  • 草刈融 等著. 註釈獄務全書. 松華堂, 明44.8. 1冊

「松華堂書店」とも名乗っていたらしい。ただの「松華堂」との使い分け不明。また、「神田神保町交叉点前」に「松華堂小売部」もあった。
松華堂、松華堂書店で、359件以上の出版物がある。結構、がんばってたみたい。
戦前・戦中の最後は、つぎの本が最後っぽいので昭和19年5月ごろ。

  • 岡田亥之三朗 著. 逐條恩赦令釋義. 松華堂書店, 1944.5.