書物蔵

古本オモシロガリズム

総目次のはなし(1)

ゆまに書房の復刻せる『読書感興』の、巻頭総目次を見ながら某さんがしきりに、

復刻屋としては下の下ですよ

といふ。
ん?(・ω・。)
そもそも「復刻屋」って、びみょーに悪い意味がはいっとるハズにゃのに、さらに「下の下」とは(・∀・)
どんなもんだろとのぞきこんだら、たしかにかなりヘンテコ。
号をまたいだ一括総目次で、なおかつ復刻時に通しページが付いているのに、ページづけが各号のものがついていたり、なによりも困っちゃふのは、著作物単位で採録されていない。勝手にはしょられた記事が(各巻の目次にもあるのに)ある。たとえば1号の各館目次末尾はつぎのようになっているが。

(略)
人間味 石川欣一 91
執筆者紹介  92
『仏魔抄』に就いて(すくらっぷぶっく) 徳富蘇峰 94
『書窓雑筆』読後感(すくらっぷぶっく) 日高只一 95
昭和十年度随筆書目録 96
双雅房雑信 96
  表紙 鈴木信太郎

復刻版巻頭の一括総目次は

(略)
人間味 石川欣一 九一
昭和十年度随筆書目録 九六

となっており、各館目次にある執筆者紹介欄、書評記事、編集後記といった、後から本文なみ(かそれ以上に)重要になる記事情報がスッポリ抜けている(@_@;)
執筆者紹介欄は人物調査のときにまっさきに必要になるもの。日本の場合、市販ディレクトリがあまり発達せんかったんで、灰色文献たる名簿(同窓会名簿や業界名簿など)に頼るか、あるいはこういった雑誌の執筆者紹介欄を活用することになる。この雑誌の紹介欄は、「生年・出生地、職業、趣味、現住所」を項目だてており、各人全項目が埋まっているわけではないけれど、非常にありがたい*1

*1:ただし、この雑誌の執筆者は多くが錚々たる面々なので、ほかのツール類で略歴は出るんだけどね。