書物蔵

古本オモシロガリズム

寸葉?(・ω・。):古本屋には資料再評価機能が社会的、文化的、さらには商業的にも期待されるのに、じつは結構ツブシまくってしまっていたという話

少雨荘がこんなことを。

一例が、パンフレット式の抜刷や別冊、研究報告や一定の範囲に配布された小冊子のごときは、かえって千金の資料が含蓄されてゐないとも限らない。しかるにこの主のものを嘱目する機会はあっても、今日では大半ツブシにして顧みないのが現在の彼等〔古本屋〕である。
往年の水谷書店は、たとえへ一枚ものでも裏を打ち、コテを当てゝ、此の種は此の種で、一括して書目として発行して呉れた深切は、心無きくず本そのものゝ側からみても、水谷の態度に感心したに相違ない。吾々書痴としては、第二代参の水谷倉吉の出現を懇望して止まない。
『書物展望』16(1) p.62 (1949.2)※転写にあたり促音を小文字化

いま、古書販売目録 検索システム / 千代田区立図書館(http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/wo/khm/)で検索すると、「水谷書房」ではノーヒットだが、「水谷倉吉」で数十件ヒット(やばいとこだった)。

書店別1-229-7918『古書籍目録 7号』書房水谷倉吉 1924.11 小判 一般古書,古典籍

(中略)

書店別1-77-2217 『紙上店舗』書房水谷倉吉 1941.6 B6 一般古書,古典籍,洋書

1924年から目録販売を始めていたことがわかる。少雨荘のいふ「小冊子」を間接的に反映しそうな内容分類「刷り物」で検索をしてみると、他にも、タツミヤ書店、森谷書房といったところが、エフェメラを出品していることがわかる。
ちなみに書房水谷倉吉は、つぎの書誌データをみると1948年ころ没していることがわかる。

入札会-15-6345 『故水谷倉吉氏追善記念大市会出品略目録』東京古典会 1948.3 大判 一般古書,古典籍