書物蔵

古本オモシロガリズム

今月の古通:専門店化の時期、DB、入札目録、総目次

v.76,no.10, 2011年10月号で気になった記事。

神保町おかみ座談会 p.8-14

出席者は、松雲堂書店、高山本店、原書房、秦川堂書店の各店主の奥様方。

永森 ええ、そしてそれは持ってきた時は、それこそ「汚い」」と言われるようなただの本の塊なんですが、それらを分けて、きれいに拭いて、商品になっていくんですよね。それはもう、見てて本当にすごいなと感動しますね。
野田 そうそう、わけのわからないものが、ちゃんと商品になっていくんですよね。

オモシロいのは、これらの奥様方のご主人の代になったあたりから、専門店化したとの証言。また、同時期に、相互に客を紹介しあうような関係が強まったそうな。

古本データベース化への道 / 澄田嘉広(よみた屋) p.22

「たしか1989年の夏ごろだったと思う。「これからの古本屋は在庫をコンピュータのデータベースで管理する必要がある」と社長が言いだした。/当時勤めていた高原書店町田駅近くの、もとはミドリヤという百貨店だったビルの三階に200坪近い店舗を構えていた。」
これは当時POPビルにあった「高原書店」のこと。わちきも片道一時間もかけて通ったよ。はげしく懐かしいが、そんなことより高原書店の店主の先見の明がすごいよね。

滝田樗陰愛蔵品入札目録 / 曽根博義 p.34

「樗陰が亡くなったのは〜〔大正十四年〕十月二十七日。コレクションの大部分は没後半年も経たない間に売立に出された。その入札目録が残っている。菊判和装本。表紙に桜花をあしらい、変体仮名で小さく「もくろく」と記す。

入札目録の資料的価値については、いちど書いたっけ???
実は

江戸の古本屋番外 EAJRS日本資料専門家欧州会議について / 橋口侯之助 p.32-33

きわめて上品ないいまわしなれど、日本図書館の古書目録のダメさや書誌学のダメさが批判されとるよーな。実際、古典籍系の人って、当時の概念を自分なりに再整理しないで、たんにくり返してたり、ぜんぜん説明になってないもんばっかりだったよーな。その点、橋口さんは、整理しようとしている。

大震災と書斎書庫 4 日銀職員関東大震災日記(下) / 青木正美 p.41

〔大正十二年九月〕十四日、街に震災絵葉書が売り出されているのを掘〔日記の持ち主〕は見た。

絵葉書がジャーナリズムとして機能していた時代、つまり明治30年代から大正時代までの話。今でも、震災(写真)絵葉書はたくさん残っているけれども、建物(炎上中or瓦礫)と死体の写真が基本。しっかし、こんな早くから売られていたんだねぇ。

雑誌総目次と索引 / 八木福次郎 p44-45

「深井人詩さんから、「文献探索人叢書」の一冊として「書誌選集」を出さないかという話がきた。」
へー、そうなのか。。。

古書通信千号の総目次に索引もつけると便利であるが、精々執筆者索引まで、項目索引まではできない。

うーん(゜〜゜ ) 事項索引をむやみに難しく考えるから「できない」ということになってしまうんだよなぁ。単に、タイトル中の重要語(キャッチ・ワード)索引にしちまえば、アルバイトでもだれでも作業はできるようになるんだが……(もちろん、その後で調整は必要となる)。