書物蔵

古本オモシロガリズム

「編集長」とは

オタどんに聞かれて気づいたのだが、意外なことに「編集長」という語が専門事典にない。あったのは編集人と編集者。質問回答をする場合、実はインタビューが重要。探偵と同じで依頼人にまづは依頼内容をよく聞く。質問の中に答えが半分あることもあるから、まづは質問内容をよく分析しないといかん。
最初にことわっとくけど、ここでは「編集=編輯=編纂」ということで話をすすめる。というのも、、『出版事典』(1971)では「編輯は編集に同じ」(p.418)とあり、『実用本の事典』(1964)では編纂は編集と同じだが、編纂の方が「学問的気分が強い」という。編纂者は出版法にある語だと植村はいう。ちなみに、三省堂などでは編修という同義語を用いているそうな。
「編集者」なら立項されている。
『マスコミ用語辞典』(1982)によれば、「編集者」は新聞と、書籍・雑誌では意味が少し違うという。新聞では「編集責任者」なのに対して、「雑誌・出版では編集に従事する者一般」だという(p.230)。
『出版事典』でも、英語でeditorは「編集責任者」なのに、日本語の「編集者」は責任者だけでなく補助者を含むという。
「編輯人」は、新聞紙法で編集責任者を意味した言葉だという(『出版事典』)。出版法で出た雑誌では編輯者といはれとるね。なんかはちゃめちゃ。
Wikipeでは、主筆=編集責任者=編集長とするも、編集長は参照項目で、編集長=編集者になっている。
つまりは、かふいふこと。

編集長=編集者(狭義)=主筆=編集者(新聞)=編集主任=編集責任者=編輯人(新聞紙法)=編輯者(出版法>出版雑誌)

なんだかむやみに同義語が多いのが日本漢語のへんなところである。