書物蔵

古本オモシロガリズム

OPACの生かし方、殺し方

古書展へ行く直前、某古書店よりドカーンと段ボールが到着した。
と、それと一緒に入っていた古書目録に、なつかしき「件名図書目録」が数万でうられていた。
ん?件名図書目録(^-^;)
森さんのカキコ(2006/11/27)、すっかり忘れとったのでメモ

日外アソシエーツの『日本件名図書目録』『日本著者名総目録』のことでしたら、基本は、國會圖書館の藏書目録に都立圖書館のも加へて成ったものでせう。
現物未見の所爲か誤謬少なからず、それでも『著者名』の方は、『国立国会図書館蔵書目録』(就中、1994年刊の「明治期」と97年刊の「昭和元年-24年 3月」と)やJ-BISCが出るまでは重寶しましたっけ――帝国圖書館時代の册子目録は書名でしか引けませんでしたから。

ん、ここで重要なのは、じつは、たった一昔前まで件名から書誌にアクセスがまるでできなかったということ。
J-BISC(ジェー・ビスク)が一時期、(図書館に)売れに売れたのは、べつに国会から本を借りるためじゃなくて、主題書誌として使われたから。つまりレファレンスサービスのために使われたのだ。

その後ウェブで、一九四八年以降收藏分だけだった國會圖書館書誌データベースがNDL-OPACで明治期まで公開してくれるやうになって、昔を想へば夢のやうに便利になりました。

まさしく、隔世の感があるのだが、ではレファレンスサービスは隔世のごとく発展しているかといふと…
まだ、掛け声段階のような気がする…
ところで最近、件名に関し、一部のbibliobloggerが言及しているのをチラリホラリと見る。
たとえば、

私はなぜ日本では基本件名標目(BSH)と国会図書館件名標目(NDLSH)をそれぞれ統制語として作っているのですか?というところから聞きたかったけど、そりゃあんまりかと思い控えました
http://mokuko.seesaa.net/article/112294988.html

いやいや、そーゆーとこで控えちゃいけない。聞くべき。
なぜ2種類あるのか? 2種類あってなにかいいことがあるのか? あるいは悪いことはないのか?
件名委員も分類委員も、そしてNDLの書誌作成部門も、そういった問いを問いかけられてこなかったから、きちんとした答えができない。刷新の機運も生まれない。

件名標目はレファレンスに有効だからわざわざ作るのだと思ってました。書誌データにつけるのもキーワードでいいじゃんってなりそうな自分。

「件名標目はレファレンスに有効だからわざわざ作るのだと」
まさしくそのとーり。
レファレンス・サービス振興には、すべてのレファレンサーが主題標目を素で引けるようになる必要があるし、すべてのOPACは主題標目で引けるようになるべきなのではある。
なれど、日本の場合、公共図書館でレファレンス・サービスの発展が1970〜1990年代に停滞したのと、図書館情報学者が概念索引法のリファインに興味を持たなくなってしまったのとで、件名をきちんとつかうほうがよい、という観念が希薄になってしまった。
件名の未発展は端的に、JLA参考事務分科会の消滅が影響しとると見るね。
だから、日本のすべての図書館目録が、ファインディング・リストでしかなくなっちまった。
Webcatをはじめ、まともに件名標目をひけるOPACが国内にほとんどないという事実がそれを物語っている。
使う側が文句を言わなけりゃ、つけるほうもテキトーにしかつけんからねぇ。NDLSHも、LCSHまねて間接地理区分なんか導入する余裕があるんだったら、すべての件名にきちんと地理区分をつけるようにするのが先だよ。もちろん、「標準列挙順序」を参考にファセット的な細目の構成を考えておかねばならんのはいうまでもない。けど、細目「(日本)」を細目「-- 日本」に置き換えちゃうようじゃあ、ファセットなど夢のまた夢のやうな…(・∀・`;)