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どこいっちゃったのかと思ってた「南京図書大略奪」の記事(赤旗
なーんだ(^-^;) ちゃんとわちきの袋ファイル「南京図書大略奪」に入ってた。
「もう一つの南京“大虐殺”/日本軍が中国の88万冊の図書奪う」『赤旗(日曜版)』1986.8.17
これについては、先週のわちきの「南京図書大略奪:まとめ」を参照のこと。
金丸裕一(あやうく祐一と変換しそうになった… やばし!)氏の分析によれば、もっとずっと小さな規模の接収(それも、直後に汪兆銘政権に返還している)にすぎなかったのに、言説空間の憶測・誤訳によって「大略奪」にまでなってしまったもの。

しかしなー
つくづく思うことは
まずは冷静に史実の確定が望まれるということ。
わちきはちょっとばかり保守的(右派?)な観点から図書館史を(趣味で)みているんだけど…
やっぱり左派的言説にわきの甘さが目立つのー
はっきりいって、2005年の図書館史研究の最大の収穫だよこの分析は。
世間さまへの訴求力、言説空間のあやうさの指摘、などを伴った図書館史研究は十二分に面白く、(趣味や憶測が渦巻く)業界内図書館史への批判としても機能する。
はやく本にならんかのー
で、あわてて言うけど、金丸氏はそれを左派的観点から必要として敢行しておるところがいいとこじゃ。
一般に、いままでの業界内図書館史研究は、
1)左派的観点から当時の司書たちを罪に問うというスタイル
をとりすぎる。まぁ、一歩譲って、罪科を追及するにしても、具体的にやった事業と無関係に、たんにその体制下にいたから罪科を問うって形式が多い。ソビエト歴史学ならいざしらず。
これについては、岡田温の記述をもとに「戦時図書館員と戦争責任」という記事でも書くしかないのー。
あ、これは左右対立とは関係ないけど、業界内図書館史は、逆に誉めるほうで
2)歴史的因果関係を無視して過剰に思想性を評価して誉めるスタイル
ってのもあるんだけどね。
これも十分警戒せねばなりません。
図書館ってのは知識人の脳内妄想ではなく、蒐書であり建物であり事業であるのだから。