書物蔵

古本オモシロガリズム

兵器オタクの宮崎駿クンが日本を救う

戦争というものは、傍目には非常に楽しいもの。
ハウルの動く城」をみて改めて宮崎さんちのハヤオくんの軍事趣味にみちあふれた作品だと。
飛行の飛翔感、乗り物のリアル感。
これがなければ宮崎アニメはつまらない。
港に軍艦が逃げ込んでくる場面。
最初に見たときは、ユトランド海戦(WW1)で被弾したドイツ巡洋戦艦「ザイドリッツ」かと思っていたけど、よくよく考えたら、黄海海戦(Russo-Japanese War)で膠州湾に逃げ込んだロシア戦艦「チェザレビッチ」のほうだったかと。
宮崎ハヤオくんが軍需産業(たしか航空機)関係の子弟だったのは有名な話。兵器オタクの先祖だったのだ。
生活に不自由しない軍需産業の子弟であれば、戦争中も楽しかった。
あの戦争でいい思いをした人は結構いたはずだけど、それを(事実は事実として)素直に述懐することは戦後イデオロギーによって不可能となった(と友人もゆーておる)。
日本アニメはたぶんに大東亜戦争時に培われた宮崎くんの軍事趣味でもっているようなもん。
画はハヤオ君も読んだかもしれない子供向けの啓蒙書(いまの専門語でいえば「知識の本」)『陸戦の華・戦車』
陸戦の華戦車 / 藤田実彦,中村新太郎[他]. -- 小学館, 昭和17
すばらしい本。いまでも通用する話がイラスト満載でわかりやすく書いてある…
でも、とっても極めてはなはだしく不思議なのは…
この子ども向けの本に書いてあること、ほとんどすべて(対空砲を対戦車砲に転用するとか、攻撃機と直協するとか、随伴歩兵で諸兵科連合効果をねらうとか)が、我らが

帝国陸軍だけが出来なかったこと

なんですけれど。
餓島(グァダルカナル)ではみすみす対戦車砲のエジキに。サイパンでも同じ。唯一、一式砲戦車が活躍したぐらいかなぁ日本戦車の武勇談としては。
馬来の虎! 島田戦車隊は… あれは武勇談とはいわないのでは。植民地軍相手だよ。
追記:すかさず友人より「国府軍だってできてないのでは」とツッコミが… さすが。だけんども,国府軍はまともな戦車持ってなかったよん,と反撃。もちろん,ナチスから機銃しかついてない1号戦車はもらってたわけだが。あのナチスからね。でも対戦車戦闘力のない戦車なんて,クリープのないナントカみたい。せっかくナチスから貰ったのにね。
わちきは非武装論には反対だけど,じゃ,日本が普通の国になり,アジアで唯一のまとも(に近代化した)国として海外派兵すればよいのかというと,そうも思わん。
なぜって,現在ただ今の日本人(のエリートの行動様式)が,支那事変から大東亜戦争期の,劣化し硬直的なものでしかない,とつくづく,身にしみて感じるからじゃ。
環境と手持ちの資源を勘案しながら,もっとも効果的にオペレーションする,ってのがベルーフの要諦だろうに,くだらない内部の慣例や規則を優先させてオペレーション自体を失敗さす選良さま方には,つくづくほんとにすっかり辟易しておるのじゃ。
国内で何十億もの金をむだ遣いしてすめば,まだいいよ。