書物蔵

古本オモシロガリズム

図書館大戦争

1990年代後半から,わちきの感覚では明らかに館界の言説空間に構造変化がおきている。それは大枠では日本全体の変化,経済成長・55年体制のおわりのせいなんだろーけど。中枠(メゾ・レベル)では,図書館の民営化とか無料貸本屋論とかになってでてきてる。
でも小枠(つまり業界内輪ネタ)としては,貸出し大躍進(1960〜70年代)の意味をとらえなすという形をとることがおおい。
で,貸出しをめぐってはここ何年か論争がおきているとみるべきなのだ。
じつは今回の伊藤先生の語りも,その一環。ただし転びバテレンみたいに当時の貸出派なので貸出しを擁護するというかたちになる。
で,伊藤先生は,

いま館界では貸出の重視が図書館の発展の弊害になったかの主張をする人がいますが,貸出とレファレンスは対立するサービスではないことは,ここに参加されている皆さんはお分かりと思います。

と,「貸出の重視が図書館の発展の弊害になったかの主張をする人」を論戦相手として想定してるわけだわさ。
でも,ほんとうにそんな主張をしてる人っているのかなぁ… もしそんな論文があるんなら書誌をおしえてほし(おもしろいから(・∀・)。きっと根本先生とか薬袋先生とか糸賀先生とかあたりを指してるんだろーけど(順不同,えらさの順ではありません)。
でも,貸出しについては,むしろ「たしかにあの時代あの状況下では正しかったが今となっては云々」といってる人しかいないのでは。
あの右肩あがりの時代に,貸出優先主義で予算をひっぱってきたこと自体にネガティブな評価をしている人はいないと思うんだけど。