書物蔵

古本オモシロガリズム

「見えてたのに見えてなかった」こと

この前,京極夏彦の「うぶめのなつ」という映画を見,小説も読んだが,そこでのキー概念は「見えてるのに見えてない」というもの。
まぁ,小説ほどのことはありませんが,自分にそういうことが起こったことをひとつ。
図書館政治ネタなんで,読書人にはつまらないかも…
〜〜〜
あれはそう,一昔も前のことでございます。当時はまじめだったわちきは,こんな文献を読んだのだす。

1千万冊の管理と点検:蔵書管理部は延べ257マイル[400km以上]の書架を監視する
Puccio, Joseph“Managing 10 million volumes and counting : collections management oversees 257 miles of shelfs" Library of Congress Information Bulletin. Vol.51, No.9, p.189-194(May, 1992)

まー中身はどうってことはない,蔵書管理部(Collection Management Division)に約230名の職員がいて,図書サービス課,特別調査課,蔵書管制センター,蔵書管理課,蔵書改善課があるって話(いまは随分ちがうみたい←pdfファイル)。
ははぁ,そうですか… 日本の図書館からすれば230名も職員がいるなんてすごすぎですが,まあ天下の米国議会図書館ですからね。
ほうほう,出納不能率が2割とな。議会図書館は書庫出納方式のうえに10冊に2冊は提供できないんですなぁ。これはこれは。

議論の末,1978年に蔵書管理部は設立された。この新設は「一般コレクションを確実に出納されるよう処置するという議会図書館の方針を明示するものでした。」とSteven J. Herman部長は言う。「この新設で重要なことは,上質なサービスはただ熟練した閲覧担当職員だけではなく,いつでも出納可能なコレクションの維持によっても支えられるという認識でした。」

ほう,えらいですねぇ。
などと,まあ,のんきに読んだのだす。
そして,しばらくたちました…
ある時,友人Cにこの文献を見せたのだす。すると彼は,わちきが思いもしないようなことを言いだしました。
「黒です」
「… へ?」
「黒いです」
「はぁ…? ってなにが?」
「この写真に写っている人が!」
「ああ!」