書物蔵

古本オモシロガリズム

 池袋 はじめての青空古本市

それから池袋へ移動。なんか今年がはじめてだと思うけど,青空古本市を芸術劇場前の広場でやってたのだ。一冊しか拾わなかったけど,面白かったよ。
10万冊という話だったけど,そのほとんどは一般人向けの,安い文庫,料理本,辞書,雑誌など。くろっぽい本や学術書はほとんどなかった。
ま,でも,それでイイのだ。面白かったのは,会場中央で探求書の受付をしてたこと。「仏和辞典ありませんかー」と事務局がマイクでよびかけると,店の人がそれらしき本をもって奔って行くというもの。なんつーか,牧歌的ですなー 運動会の借り物競走みたいな雰囲気。
さんざ立ち読みしたすえに,わては,安い文庫のなかから,図書館資料についての本を拾う。
電話帳の楽しい読み方 / 博学こだわり倶楽部. -- 河出書房新社, 1998.2. -- (Kawade夢文庫)
電話帳についての本なのだ。電話番号簿ね。これがレファレンス・ブックとしてバカにならないんだわ。プライバシー概念の発達やら個人情報保護法やらで,逆にますます有名でない人零細企業のことがレファレンスによせられるようになる。
ただ,電話帳をまじめにあつめてる図書館は極めて少ないのが現状。こういったエフェメラに対する日本の図書館の仕打ちというのは非道いもんだ。
これは業界内の小才子がよく言いだすことなんだけど,ネットや電話で調べりゃいいじゃん(だから電話帳いらない),という意見がある。いやー,ほんとにオバカな意見だね。
そんなのあたりまえ。それでわかりゃあそもそも図書館になんて聞いてこないよ。冊子体じゃないとうまく調べられないことがあるのだ。あと,冊子は保存がきくからねー。エフェメラってのは,「一時的利用価値のみを有すると認められる資料」って某図書館で翻訳されてるんだけど,これがためておくとお宝になるんだす。カレントなニーズを満たせりゃいいってんなら,図書館なんてそもそも要らない。よろしく潰すべし。
妙にヤル気まんまんの人に限って,図書館のコア・コンピタンス(本当の強み)が全然わかってない。
たしかに将来的には電話帳が発行されなくなる可能性もあるけど,あるうちは蒐集するのが図書館としては正しいよ。
現在ただいまのニーズにひきずられて,図書館の本当の強みをブチこわしにするのは,ほんとに小才子としかいいようがない。