書物蔵

古本オモシロガリズム

戦前の図書館本

それから神保町へ移動.抜け道の途中で期せずして右折レーンに入っちゃって,カブキチョーのホテル街に突入しちゃったよ.歩いたことないから(笑)勉強になたー
神保町では立ち読みとしかしたけど結局なにも買わず.けど,とってもめずらしいものを入手できました.
買わなかったのに入手できたのはなーぜか?
もらったから(笑)
図書分類法要説 / 加藤宗厚. -- 古経荘, 昭和16
ひさしぶりに真性図書館本を入手できました.満足だす〜 最近,欲しい本がむこうから寄ってきてくれるんでコワイ
まず最初に.
上記の書誌データは,某国立図書館のOnline閲覧目録からそのままコピペしたもんなんだけど,誤植があります.
古経荘じゃなくって古径荘ですね.東京市滝野川区田端町349番地.昭和11年あたりから出版活動してるみたいだけど(ネットでみたら,昭和10年刊の本あり),加藤さんの本の他には,2冊ほど法帖の類があるばかりなり.(と思ったら,NIIでみると戦後にも同じ名の出版者あり)
昭和16年11月刊行の図書館本なり.日米開戦まで,あと1ヶ月だす.シナ事変が一向におわらず,経済もいささか左前になってはいたし,政治的自由もなくなってはいたけど,昭和18年ごろまで民生は意外とのんきだったのではないかと思う.
この古径荘の代表,森地明睦ってのは何者でせう.加藤シュウコウとの関係や如何? 加藤シュウコウの伝記みたら載ってるかなぁ.え,加藤シュウコウって知らないって? さもありなん.
加藤シュウコウは,最後の国立図書館長ね.てゆーか業界的には図書分類法の専門家ということになってるけど,じつはこの人,岡田ナラウが国会図書館整理局長に転出したあとに館長をまかされたのだ.だから,最後の国立図書館長.えーっと,「国立図書館」ってのは固有名ですから注意ね.まぁ一般向けには「帝国図書館」といったほうがとおりがいいけど,ってぜんぜん通ってないか...
最後の国立図書館長 : ある図書館守の一生 / 加藤宗厚著. -- 公論社, 1976
この本も持ってるけど,いま手元にない.図書館本ではわりとよくみる古本.相場は500〜1500円くらい.この人,これ以前にも自伝をガリ版刷りでだしてるけど,そっちの方にしか載ってない記事もあるから要注意.この人の功績としては,分類法と件名法の研究ね.図書館管理者としての話はあんまりしらないなー.NDCをつくった森清や,件名法の山下栄なんかとの関係はどうだったんだろ.
けど結局,分類/件名の専門家って,一応100年くらいある日本図書館学史で5,6人しかいませんね〜.図書分類って他の学問分野にない図書館学固有の分野なのにへんなのー.やっぱりこれも根本先生のいう図書館情報学の知的貧困なのだなぁ.
と最後はマニアックな話になりますたね