書物蔵

古本オモシロガリズム

調べもの一般史の事例としての人物調査

日本にをける調べ物一般史といふのを素描したいなぁ、とおほむかしから思ふてをる(。・_・。)ノ
ところで、人の生活には、職業人、一般人、学徒(研究)の3つの側面があると思ふとる。
職業人には職業人としての調べ物がいろいろある。
学徒や研究者ならそれぞれの専攻での調べ物。
では一般人の場合は?
じつはこれもいろいろあるのぢゃが、そのほとんどは近い人や窓口で直接たづねたりしてすます。現在ならググる
ところがこの3つで共通して調べるアイテムがあることに気づいた。
それが人物調査。
職業としての人物調査はおよそ興信、つまり信用力査定がおほい。
学問としてのなら歴史人物とか。
一般人としても、年取ると皆がかかる病に先祖調べがある。
これらはみな、人物調査といふことができ、直接、興信所をつかってリアルな人物の行状を直接観察するという手もできなくはないが、カネがむやみにかかるし、過去の人物にこの手は使へない。
そこで【人物文献】を探すといふことになる。
ここにおいて、人物文献調査の歴史は調べ物一般史のよき指標になるといふことができるわけ(o^ー’)b

興信所と出版史

今だと探偵業を連想させる興信所は、もともと新聞に近い日報などを発行し、出版史のなかでも一定程度の存在感を示す業種であった。テレビの中の探偵業は刑事犯を追い詰めたりするが、実際の業務は浮気調査などが主というから、どんな業種も実態と言説イメージはズレルもの。
興信所は、信用を興す所なわけであるが、要するに金銭の貸借を行う際に、主に借りる側の人物(自然人)や企業体(法人)の経済状態などを調べ、それを第三者として証言するという機能がある。
法人も広い意味では「人」であり、自然人はまさしく人、つまり、人に関する信用情報を集めて持っているのが興信所であってみれば、その興信所が持っている人物情報をあらかじめ本に仕立ててしまえば便利、ということになろう。
それが『人事興信録』の類である。
これに先行する『日本紳士録』がその起源を、紳士同士の連絡とりあいのため、ということであれば、住所など最低限の情報しかなかった――少なくとも戦前版はそう――