書物蔵

古本オモシロガリズム

水曜荘主人の言

水曜荘主人の言

古本道楽に熱を上げる人々の中には(むろん、僕も含めて)何かになり損ねた人が多いような気がする。(略)ある年の冬の夜、斎藤翁と、僕と、なにがし氏の三人で新橋『天春』で酒盃を乾したおり、なにがし氏酔うほどに『僕は、先生、あなたのお陰で、とうとう出世を仕損なった。洋行までしたのに…』とやんわりからんだことがある。

ん。これは、酒井(水曜荘)の友人で、「小説で飯を食っている男だが、初版本の好きな愛書家」が、少雨荘に、愛書趣味などという悪い遊びを教えられたので、「洋行までしたのに」出世できなくなったと、なかば冗談の恨みごとを言っていたのを聞いたということだねぇ。
わちきの愛書趣味は、べつに誰に教わったわけでもないが、たしかに「何かになり損ねた人」であるかもしれん。
ん? オタどんはトンデモ研究者になりそこね?