書物蔵

古本オモシロガリズム

大正期、雑誌のリスト

創刊号の初出をしらべ数年間。。。
たまたまデジデジ(国会さんの127億円DB)を見ていたら、新刊圖書雜誌月報 [50]に大正六年自五月廿一日至六月二十日新刊雜誌分類目錄(創刊號 特別號 筯刊號)p51という項目があって、もう一般化していたことがわかる。ついでにみると同じ号に「どんな新刊書がよく賣れたか」p9 があり、東京堂売店において「最も多く売行きし順序」が示され、約60点の書目が並んでいた。こりゃーベストセラアのランキングですな。
おなじ月報の請求記号違い(特105-640)vol.13.no.5を見ると、「創刊雑誌一覧」があるが、その直前にある「消息」欄にきはめて重要な記事がのってゐた。それは、

雑誌の種類と分布:最近一ヶ月の内務省統計

といふもので、「内務省警保局嘱託、内山鑄之助氏のお話によると、本年三月中に出来た雑誌が三千百十四冊あるさうだ。」
無名筆者氏はそれを補足して、これは「所謂月刊雑誌の全部ではな」く、「出版法による雑誌だけ」であり、著者の意見として「新聞紙法による雑誌が約六千種位あるものと見なければならぬ」といふ。まあそれはともかく出版法雑誌(当時の行政用語では「出版雑誌」といったが)を類別したタイトル数一覧が掲げられている。
で、重要なのはこの類別の項目。タイトル数が多い順に並んでて、最後が「以下略」となってて元データは悉皆だったのにこの一覧は悉皆でないのが残念だが、悉皆に近いものとして考えると、コンテンツでなく発行主体や読者対象の項目が面白い。

校友会雑誌 青年団団報 市町村公報 講義録類 少年、幼年 商店広告パンフレツト

といったところがそれ。「会報物」が多いのはあたりまへとして、公報があるのは、これは出版法雑誌で出版されたものが多かったからだ、とこの記述からわかるし、「商報」も出版法雑誌とわかるねぇ。
最後にこのリストは地方出版が多く、新聞紙法による雑誌ならもっと大都会中心になったろうと筆者の意見がさらに示唆的。
図書課の属官などは大正時代から随時、分析的なレポートをつくっていたことがわかる。いまググると、

  • 雑誌にみえる文化の分布・内山鑄之助 p954 新聞集成大正編年史. 大正15年度版 上/1985.1

といった記事を内山は書いていることがリサナビのクソひきづらいモクジーにあるね*1。これは関連記事かな。
出版年鑑の昭和2年版にその記事が転載されており、大正15年4月18日の東京朝日新聞であるとある。

デジデジ目次が雑索としてダメなこと

しかしデジデジの目次情報は、記事索引としては不備だなー(-∀-;) 上記の記事、まともに検索したら出てこないもん。「消息」としか採録してないからねぇ(・∀・`;) 仕様書がどーなってるのか知らんが、かういった記事タイプを示すコトバでしかないもの(ex. 消息)と一緒に、本来の主題を示す文字列を拾わんと、ほぼ意味がない。意味がないことに税金を投入するのはいかがなものか(´・ω・) まあ景気対策だったからしょーがないのかなー(*´д`)ノ

*1:新聞集成大正編年史を検索できるって最近しってのけぞったよ(*´д`)ノ