書物蔵

古本オモシロガリズム

皇道図書館主宰、並木軍平につき若干の進展

幸か不幸か、景気対策だった127億円の電子化により、その余沢で、戦前の疑似雑誌記事索引DBが整備されたことは、『文献継承』の読者なら知ってをろう。

不図思い付いて、その疑似雑索を並木軍平で引いてみたら、なんと戦後の文献がヒット。一般に戦前期と戦後期で日本人のキャリアというのは分断されとるから、どっちかの世界から反対の世界へ追跡するのは難しいが、いったん飛べればその後の展開に希望がもててくる。
んで、どんな文献に載っていたかというと。。。
にゃんとこれが『最高裁判所裁判集:刑事』(137)(昭和36年1月〜昭和36年4月)というもの。
まあこれは「判例集」の一種である。

判例集とは

わちきの嫌い(?)な法律学(;´▽`A``

 判例集とはある判決で示された法の解釈が、別の事件にも適用になるかを判断するという趣旨で編纂されたものであり、しばしば誤解されているよゆに、裁判の記録を公開するという趣旨で編まれたものではない。

わちきはすっかり「誤解」していたよ(^-^;)

したがって判例集に掲載されるのは、主として判決の中の法の解釈の部分であり、当時〔ママ;事か〕者の弁論などが登載されるわけではない。また、法の解釈として重要なものを特に選んで登載しているのであって、すべての判決を登載しているわけではないし、世上有名な判決でも法の解釈として新しいものがなければ登載することはない。

なるへそである(゜〜゜ )
かういった、メタレベルのことをキチンと書いてある本ってあんまないんだよねー
ちなみにこれは、かなり前に国会に勤めをる友人から入手した『法令議会資料検索の手引き』というコピー本(97p.)。版面がワープロ専用機「文豪」で組まれていることと、巻末の国会会期一覧が第113臨時国会(昭和63.7.19〜)まで記載されとることから、1988年の7月以降に作成されたものだと判る。
平凡な「専門家」のダメなところは、自分たちの知りをる専門知についてメタレベルの説明ができない(する機会がない)こと。だから素人でしかない図書館員のほうがかういったツールについてメタレベルの説明ができたりもしたというよい事例。
ってか、たしか名著の誉れ高い『法学文献の調べ方』(東京大学出版会,1978.8)を書いた板寺一太郎もたしか東大の図書館員だったやうな。。。

それはともかく並木さん

昭和35年(あ)2226公職選挙法違反事件、というのがあって、この判例はどうやら「名刺」が公職選挙法のいう宣伝文書なのかどうかの判断が含まれとるので記録に残されたもの。
んで、この判決文の中にすでに明らかであった生年月日と同じ生年月日をもつ並木軍平さんが出てくるので、同一人と判定できたわけ。

本籍 東京都豊島区要町一丁目一九番地
住居 同都文京区林町二〇番地 二口孫一方
    会社役員
       並木軍平
         明治四一年一〇月二三日生

とある。
ということで、戦時中、皇道図書館を開設した並木軍平さんは戦後も昭和30年代までお元気に会社役員などをされていたということがわかった(゚∀゚ )アヒャ
いやー、これはビックリしたことであった(・∀・`;)
二口孫一というお人は、昭和28年の段階で不二越鉱業なる会社の社長さんをやっとる。これは戦時中の昭和15年に日本鉱発ちゅー会社の取締役をやっとったからみのようである。ちなみに不二越鉱業は本社が富田市にあったのだが、昭和29年に不渡りを出している。
この調子だと、もしかしてご子孫にお話が聞けるかもかもc(≧∇≦*)ゝ
しかし話を判例集にもどすと、上記の説明書はこんなふーに続いてる。

そこで社会学歴史学の観点から裁判を調べようという場合には、判例集は適当な資料であるということはできない。それらの観点から〜

ちゃんと、法実務の観点からでない判例の使い方についても、少し触れているのがよい。

追記(20121002)

そうか、オタどんはいまを去ること6年まへ、宿題をわちきに出してくれていたのだね(゜〜゜ )

 皇道図書館発起人の並木軍平は、明治41年10月群馬県生まれ。敗戦まで無事に生き延びることはできたであろうか。そして、戦後をどのように生きたのであろうか。今後の「書物蔵」に期待するものである。
http://d.hatena.ne.jp/jyunku/20060114

あの頃はよかった。。。古書展には一番に行けたし、行くとhisako姐さんもいたし。。。もう6年もたってしまったんだねぇ(*゜-゜)
よく図書館とかで、見ましたありませんでしたと*1、反射的に答えるレファレンス回答をする人が誉められる*2けれど、人文系レファレンスぢゃあ、生きている間に答えが出ればいいといふものもあるのだ。

*1:そりゃ、ごく限定的なレファ本ぢゃあ、あるわきゃないわな

*2:答えがでなくても、作業統計は1件だからねぇ(σ^〜^)