書物蔵

古本オモシロガリズム

マンガ学概論を読む

ほぼ読了。タイトルに入門とあるが、この中身は概論なり。

マンガ学入門

マンガ学入門

ほぼオールラウンドにマンガ学のサブディシプリンを網羅しとるし、文献紹介もある。おそらく現下では、もっともまともな概論といいうるのではあるまいか。巻末のタイトル索引を書誌にして、本文からそちらへ参照をとばす、というほうが本としてのデキは数倍よくなっただろうが、多人数でやったからやむをえないかな。
ただ、編者も書いていたことだけど、オールラウンドにやったせいで、不出来の(というか研究が進んでいない)部分がある。たとえば図書館とマンガのところとか。わちきはやる気はまるでないけど、やろうと思えば今からでもかなり研究の余地が残っていそうな気配だなぁ。もちろん、マンガは立派な芸術だから入れろ、というような運動論ではとーてい研究にはならんので、ひねりを効かせる必要があるが、じつは米国の「フィクション論争」がほぼそのまま転用可能(すくなくとも研究の最初として)という有利さもある。