書物蔵

古本オモシロガリズム

『名乗辞典』があれば「名乗り」は読めるか?

書物の達人 / 池谷伊佐夫. -- 東京書籍, 2000.9 を読んでいたら、斎藤「夜居」は、ヨズエと読んでほしかったところ、業界内では「ヤキョ」で通っていたと書いてあった。
ちょうど、呉智英(ゴーチェのもじり)氏の「暴走万葉仮名」とか、「DQNネーム(ドキュン・ネーム)」が話題なのでチト考えてみた。
って、それらとはちがう従来の、「名乗り」というか難読名というか、そういったものは読めるだろうか?ってことを。珍走名・DQNネームは読めなくてもまぁやむをえないかと。
なのり、っちゅーのは武士の実名(じつみょう)と、それにあてた漢字とのセットのことらしい。
で、「夜居」は読めるか。
しばらくまえに古書展で安く拾っておいた『名乗辞典』登場。
引いて見ると、

 夜 ヨ ヤス ヨル
 居 イ オキ オリ サヤ スエ ヤス ヨリ

とそれぞれ、読むことができる選択肢が複数あって、それぞれついてる事例には「夜+居」はない。
【答え】
必ずしも読めない。ただし、可能性を示すことはできる。
ただ、夜居を「よずえ」だと知っていて、ほんとにこんな読みできんのかな、という答え合わせには充分つかえる。
(参考)
もちろん、上記は一般人(無名人)の場合であって、半有名人の場合には、いろんなレファ本に答えそのものがずばり出てくる。ヤキョさんの場合には、単行本を書いておるのでNDL-OPACなどを見れば一発。『人名よみかた辞典』(日外)とかでも。
ただ、「諸橋大漢和」あたりだと「夜居」が立項されておって「ヨヰ」とヨミがあるので、「ヨイ」と誤?読される可能性はあるね。