書物蔵

古本オモシロガリズム

国会の「記事索」で拾われていないもの

で、1948年以降は国会の記事索(きじさく)が拾ってくれてるから安心と思いきや。
おお、さらにこんな、国会の雑誌記事索引の欠落データについての説明が序文に。個人編者ならではの記述*1。これはありがたい。
どのような会社・役所であれ,自社製品の欠点は説明してくれないから,助かるよ。
図書館業界にも、『くらしの手帖』あれかし*2

(略)さらに、創作小説類の初出誌調べという面から見ると、前記国立国会図書舘の「雑誌記事索引」が評論随筆類のみ対象として、小説類を除外しているという事実がある。作家の作品年譜を作ろうとする場合、われわれはどうしても『文藝年鑑』を順繰りに拡げていくしか手がないのである。むろん、その不便を補うべきツールが全くないわけではない。〔小田切『日本近代文学年表』、浦西『昭和文学年表』を挙げて、しかしそれらも、小説専門でなく年代も広いので、どうしても全部というわけにいかず〕小説自体の収載密度は『文藝年鑑』のそれよりも絞られてしまっている。(強調引用者)

ただそんなとこをフォローするこの初出索引でも,以下のようなものは除外したという。

評論、随筆エッセイ、ノンフィクション、ルポルタージュ、また実録的性格の強い作品、伝記などはすべて除外した。

ここまでがこの書誌の説明ね。

「作家」の4人に3人が(応用ビブリオメトリクス)

で、次のような,この書誌における収録作品数別の作家数をだしてきて、こんなふうにいっている。

作品数 人数
1 1745
2 479
-10 2989
11- 722
3711

現代作家3711人のうち、その四分の三に近い数が、いわゆる文壇作家とは少しばかり違う生き方をしている人たちらしい、という事実

まあこれは昭和55年までのデータだから、現在只今も確実にそうとはいえないけれど、作家として文壇に出た人の4人に3人が,かならずしも文壇にとどまりつつけてはいないということなのだ。逆に言えば,きちんと作品が商業誌に載っても4人に1人しか,成功しないという世界。
なかなか大変だなぁ。

ついでに

この初出索引、猫猫先生の『軟弱者の言い分』(ちくま文庫)の後半に、参照しようとしてできなかったもの、として登場している。

さらに

猫猫先生が上記箇所で、不適切な案内をうけて「図書館員も学力低下したのか」となげいておられるが、わちきにいわせれば、学力はむしろ向上しているのではないだろか。むしろ、それがあだとなって官僚制の負の側面が強くなっているのでは。
とゆーのも。
どんな記事が採録され「ない」のか気になって、説明のサイトを見たら、とても一般人には読めないような文章が平気で載っているから。
どの場面でどんな文章・しゃべりを使うかという文脈力が低下してるのでは。

雑誌記事索引』とは(わちきの翻訳)
 国会図書館が集めた雑誌のうち、国内刊行された和文のものを中心に、タイトルがある記事の書誌をデータベースにしたもの。
 記事のタイトル、タイトル中の単語、著者を検索語として、掲載誌・掲載箇所を特定できる。
 採録する雑誌になるかならないかは、「採録誌選定基準」による。
 採録誌でも採録されない記事があり、それは「記事採録基準」による。

ただこれだけのことを説明するのに、やたらめったら漢語表現をつかい、わかりづらいことおびただしい文書をインターネットにさらしとる。

1 『雑誌記事索引』とは(もとの文)
 『雑誌記事索引』とは、国立国会図書館が収集・整理した国内刊行和文雑誌(一部外国刊行和文雑誌・国内刊行欧文雑誌を含む。)から、固有の論題をもつ記事をデータベース化し、雑誌文献検索の便宜を図るものである。雑誌記事の論題名、論題中の単語、著者を検索語として、文献の掲載誌・掲載箇所を特定することができる。
 『雑誌記事索引』の採録対象となる雑誌は、「雑誌記事索引採録誌選定基準」によって選定する。採録誌中の記事の選定については、「雑誌記事索引記事採録基準」による。

こんな、へんてこ漢語満載の文章を書いた本人や同僚・上司が疑問に思わずupするとは、お勉強のできる人が増えたからとみますですよ。「こんなもん、わからんよ」といえる人が少ないのだろうなぁ。

*1:日外の大味系ツールの序文では、これはできんだろうなぁ(・∀・)。

*2:ほんとうは、日図協や情報学会あたりでやるべきなんだろーけど… みなまでいうまい(・∀・)。