書物蔵

古本オモシロガリズム

高円寺〜神田

新幹線の中で,イノショーの本を読了す。
夢と魅惑の全体主義 / 井上章一著. -- 文藝春秋, 2006. -- (文春新書 ; 526)
東京駅で買ったもの。
帝冠様式(当時でいう日本趣味)が軍国主義と無関係であったことを,満洲国の(擬似)帝冠様式をもひっぱってきて論証するもの。帝冠様式ってのは,そう「軍人会館(現・九段会館)」のようにビルヂングのうえに瓦屋根をのっける様式。
川村湊と論争になってたとは知らなんだ。
また,老大家が若手を古い規範で圧迫したにすぎない(と井上が考える)ことを「ファシズム」という建築史家(八束はじめ)をとらえて,

〔そんなことは〕いつでもどこでにでもある。(略)商品開発の企画会議などは,どこの会社でもそんなことの連続で(略)。
これを「ファシズム」だと言いだせば,世間は「ファシズム」だらけになる。(略)第一次大戦後の大衆社会に発生し,第二次大戦をひきおこした,そんなファシズムの,歴史的な固有性が,見えなくなる。

と批判している。
井上はそもそも独伊ソと異なり,「日本ファシズム」は明るいユートピアを示さなかった(少なくとも建築では)という点で,ファシズムではなかったのではないかといっている。ただの貧相な軍国主義,「戦時体制」にすぎなかったと。

神田で仮性図書館本

高円寺ではさしてひろえず。神田ではますます拾えず。
金星の道 : 梶井重雄歌集 / 梶井重雄著. -- 砂子屋書房, 1999
梶井重雄さんは中田邦造門下「三羽烏」のひとりで唯一のご長寿。
署名落款入りで300円。わちきは短歌の素養がまるでないんだけど資料本としてぎりぎり仮性図書館本かと。
こんな意外なものが拾えるのが古書展のいいところ。
友人AとBと読書人の東京堂で落ち合い,当てもないので○○○先生,○○男さんと飲んだ店へいき,同じ机に座る。
飲みすぎる。
う〜ん,あした二日酔いにならねばよいがのう。