書物蔵

古本オモシロガリズム

奇跡だ……(・o・;)

知りたいけど絶対にわからないだろーな、ってことない?
「○○史の決定的瞬間」*1のことを知りたい。
けど史料・証言がなけりゃあ、それはわからない。
で、想像するのはまだよいほうで、どうしても知りたいとなると、史料が創られることもある。
コンスタンティヌス帝の寄進状」なんかね。
トンデモ史。
「わからんもんはわからん」というのが歴史学だと友人もよく言うておる。
うん、わちきもそう考えていた「満読」の芝富読書指導者養成所のことを。
ところが…

大政翼賛会前後』

昨日、マケプレ経由で送られてきた本。
杉森久英大政翼賛会前後』(文芸春秋1988)
げらげら笑いながら読み進む。東京帝大にいったのに授業に出なかった話とか、田舎教師をした話とか、中央公論社の大入り袋の話とか。
で、タイトルにもある大政翼賛会へと話はすすんでゆく。
あれま、これ、当時の情報局長が書いた『証言・戦時文壇史』(1984)で罵倒されてた平野謙って人(のち文芸評論家)についての記述もあるね。猫猫先生がブログで紹介してた件。http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20060208 杉森さんは『戦時文壇史』を読んだうえでいろいろ平野氏のお人柄について言っているんだけど… やっぱり平野という人には分がないの〜
というわけでどんどん進んでいくと!
げげーっち!!!
これ、後半1/4は図書館バナシじゃないの!
中央公論社をおん出た杉森さんは翼賛会へと。そこでは最初、興亜局のための資料室づくりをまかされ…
るはずがいきなり有耶無耶に(・∀・)
仕事がない!
翼賛会でぶらぶら いいなぁ。
と、今度は!
読書運動せい!との指示。
で指示を出したのは、最近、歴史学狂言回しをさせられている高橋健二氏(当時、翼賛会文化部長)
で杉森さんは外形的には極めてマジメに仕事をはじめるのだ(・∀・)/
ここが… きわめて重要。わちき的には。だって…
史料がないだろーとあきらめていた話が全部書いてあるんだもの!!!!!!
この時期、雑誌が次々と統廃合されていったから、現在ただいま当時の細かなことや裏事情を知るのは無理だろうと思っていたのだ。
それが。まんま書いてある。中田邦造のこと戦後は館界では忘れられた堀内庸村のこと(くわしく)、そして芝富読書指導者養成所のこと!!! 
そして館界の偉人、有山粔もでてくる(チラッとね)

なんでこの本、館界で有名でないの?

図書館史研究のミッシングリンクをつなぐこの文献。べつに非売品でもなく高くもない。今だって安くマケプレや日本の古本屋にころがっている。なのにぜんぜん館界ではまったく無名。
ものすごく不思議。
じつは1990年前後に深井先生周辺の索引家たちが気づいているフシがあるのだけど… 館界中央でギャースカさわぐのとは無縁だからなぁ書誌家、索引家は。
あとは…
じつはこれ、『諸君』の連載がまとまったもの。
館界は基本的に旧左翼と新左翼が主流なので『諸君』は読まれなかったのだろうなぁ。

*1:もちろん坂野(ばんの)潤治氏のパクリ