書物蔵

古本オモシロガリズム

悪の帝国の悪の図書館官僚!?

このまえ,二代目の帝国図書館長・松本喜一は館界で極悪人扱いされとる,とゆー話をしたよね。
わちきがおもしろがって書き,友人に「みんなそう思ってるよね」ていったら,「(そうかもしれませんが)はっきり書いてる人って,あんまいないのでは」と。
むむー,そうなのだ。わちきもそれを困ってをったのぢゃ。
と…
なにげに10数年前につくった(とおぼしき)袋ファイルを整理していたら!
出たーっ! そのものズバリが!!!!!
ただ…
わちきはこれ書いた人には(実は)同情的な部分もあるので… ここに紹介するのに若干のためらいが(これ金丸先生にみられちゃうかしら)…
といいつつ引用す (・∀・)
とゆーのも。

図書館ゴシップは,図書館らしく「文献実証」的たるべき

ってのが「文献報国」をモットーとしてをるわちきの信条だわさ。最近,流言浮説にまで筆がすべってしまい,反省してをるのだ。

悪の帝国の図書館長

敗戦のニュースは,上野図書館の館長室で知った。館長は超ウルトラの国粋主義者松本喜一。二〇年以上も帝国図書館長として君臨し,文部省の命ずるがまま,全国的に図書館を思想善導の機関に陥し入[ママ]れた人物。(強調は引用者)

ほらっ!ほらっ! わちきがみんなに分かりやすく誇張して言った内容,そのままでしょ(って,わちきが思いっきり誇張して,はじめて同格とは… いやぁマイッタ あるいは無意識に憶えていたのをわちきがくり返した? どっちにしても山崎さんスゴイ)。

彼は戦後間もなく病死したが,存命ながら図書館唯一の戦争犯罪人として追放処分されたことだろう。

わーい,戦犯だー o(^-^)o わいわい
って,わちきは存命でも戦犯はムリだったと思うぞー。だって戦前の日本社会で図書館界ってそんなすごい存在だったの…???
で,書いたのは金丸先生にビシーッと批判された山崎元さん。わちきの手許にコピーが… なんと誌名のメモを忘れてをる! わちきのバカ!
山崎元「『十五年戦争』終わったときが十五才」『?』vol.?, no.? (19??) p.16-18
うーん,版面の雰囲気からみるに,『みんなの図書館』あたりかなぁ。年代は1980年代あたり? 月はやっぱり8月号かしらん??? 文献実証といったとたんに書誌事項が不明とは,なんとも申し訳なし。
うん,それでこの記事おもしろくって,純粋な回想部分と,1980年代の左翼運動家からみた(かなり紋切り型な)1980年代の意見の陳述とがないまぜになってる。
おもしろがるのはいいけど,それぞれ分けておもしろがらないとね。(o^ー')b
回想部分は…

その館長が病欠中の八月十五日正午の館長室。七,八〇人はいた全職員が集められ,館長代理の岡田温氏を最前列先頭にイギリスパンの形をしたラジオに向かって立ちならび(略)

これは実に得難い証言だよねぇ。

前の方からすすり泣く声も聴かれたが,敗戦の悲哀という想いつめたものより,もう四六時中緊張しないで過せる[ママ]心のゆるみの涙に思えた。

って,職員の一部は,やっぱりすすり泣きしたんだねぇ。
って,そこまで!
はい! その次の,すすり泣きは平和の喜びであったから,というのは泣いた人に詰問せねばわかりませんよね。それに,そう思ったのは,当時の山崎さんなのか1980年代の山崎さんなのか,これは問いつめたいとこですねー だって当時は「軍国少年」だったって自分で書いてるんだもん。
でも…

当時本が好きで上野図書館に働き,仕事を終えてから夜間中学に通った。

というのは事実とわちきは判定するね。
だから…
親に喰わせてもらって大学に行き,授業をテキトーにこなして本屋に通ったわちきは,どうしても全面的に非難する気になれんのだわさ。
もちろん,

出納員に,帝国図書館長がホントに悪だったかどうかなど,分かる由もない

んだけどね。
坂野潤治先生が田原総一郎を叱った話を思い出したよ。同時代に生きていたからといって小学生や幼稚園生では時代の証人ぶっちゃいけない,って。
たしかに,そうだよねー。
大会社の末端社員が社長のことわかるはずもない,ってのが常識的な見方だわな。
同時代人でそれがある適度判断できる材料を持てた人がいたとすれば…
そう,「館長代理の岡田温氏」をおいて他にない。

そんなことよりも 資料保存ゴシップ

戦争責任じゃなくて,戦後の話の証言としてこんなのが(*o*)

(陸軍が運んできた図書10万冊のうち)複本分は蔵書印のついた表紙を引きちぎって廃棄処分にして,当時高価だった反故紙として払下げ,図書館員の生活補給金として運用した

なんと本をうっぱらった代金を職員で分配しちった,というのだ。
でも。
わちき,実は廃棄本を払い下げるのは賛成なのだわさ。それが古書市場や愛書家の手に渡るんならね
で… そのカネを職員で分配したのも当時の経済状況を考えれば非難できんとも思う(実際,ソビエト崩壊時のロシアで同様の例があった)。
けど… どうしても許せないのは…
ほんとに反故になっちゃうとすれば,それは許せない
きちんと除籍印を押して,入札なりなんなりして,古書市場に出すべきだよ。
もし,古書を古書市場(or愛書家)に還流させず覆滅させているようなところがあるとすれば,そんなところは資料保存などというコトバをつかうべきじゃない。