書物蔵

古本オモシロガリズム

古書モールで疑似図書館本

神田へいく。おやや,八木福次郎斎藤昌三書物展望社』が並んでる。立ち読みするとおもしろそ。でもまだ買わず。
古書モールで,下記の仮性図書館本を。しばらく前から気づいていたけど,図書館に関する記述やら,図書館関係者による記述に気づかなかったのだ。

読書の眼 / 帝国大学新聞社. -- 帝国大学新聞社, 昭12 函コワレ 500円

帝国大学新聞にのった学者達の随筆集。おおむね読書についてだけれど,無関係のものもある。図書館関係者では,和田萬吉植松安が書いている。ほかに,図書館についての随筆も2,3ある。
和田萬吉は,本は精読せよと書いてある最後に,こんな話を。

昔私の友人の中に東大在学中図書館に一遍も登覧した事の無いのを一生の誇りとした変物がありました。而もそれを揚言するのはその頃既に同館の管理に承乏してゐた記者の面前であるのには恐れ入りました(略)

わちきみたいに図書館に籠もったら出てこない輩もおれば,たしかに卒論を書くまで一度も登館したことがない人ってのもいたね。いや,それはそれで偉いと思うが。
植松安は,いちごを頼んだら,一合とっくりが出てきたはなし。

上野の図書館が湯島にあった時

戸川, 秋骨 (1870-1939) ‖トガワ,シュウコツ (慶応・英文学)の文章には,ほんのちょっとだけど,とってもめずらしい記述が

これは確かり[ママ]は覚えて居ないのだが。私は又図書館に行つて--今上野にある図書館がその時はアノひじり橋の袂にある聖堂にあつたのであるが--小説類を読んだ。翻訳ものでは渡辺治氏(中略)の訳になった「鏡花水月」といふのを読んだことを覚えて居る。これは The Comedy of Errors の話で,ラムのシエイクスピアからの訳である

官立図書館が湯島の聖堂にあった時代の,利用者側の記述って,とってもめずらしい。

関連記事としては,浅草文庫はいずこ〜?で明治前半の官立図書館について,上野の図書館で,関連書誌を(とはいっても,この記事で引用した冊子はコピー本なので入手はほぼ不可能。目次だけでもupしますね(というか,目次でこの冊子の価値はほとんどつきている)。