書物蔵

古本オモシロガリズム

歴史地図(帳)とある大学図書館での思い出(怒)

洋書店(紀伊国屋)のアナウンスメント(新刊チラシ)をながめていたら、これは!と思う本が。
John Haldon "Palgrave Atlas of Byzantine History"
パルグレーブってのは出版社の名前みたい。で、そこのアトラス。
アトラス(Atlas)って知ってますか? 日本語にまだなってませんね。地図帳のことです。これは「歴史地図(帳)」の一種ですね。
で…
西洋史本の地理情報って国内のは結構いいかげん。おまけでついている地図もいいかげんなことが多い。歴史を語る時に,地理的なもの(その事件がどこであったか)というのは,かなり重要なことなのに,本を読んでいてもどこだかわからないことがおおい。きっと著者もわからないで書いてるんだろーね(笑)
昔,西洋史に興味があったとき,しょーがないから大学の図書館で洋書のアトラスをみようとしたのだ。そしたら定位置(棚の本来あるべき場所)にナイのだよこれが。レファレンス担当に聞いても(そのアトラスはレファレンス本扱いだった),「あるはずだ」というだけ。まったくスバラシイ答えですね。きっと誰か(教員か学生か図書館員)が盗んだにちがいない。だって,相当にデカイ本だよ。ほかに紛れ込むことはないよ。
こーゆー時,いまの人たちなら「管理不行き届きだ!上司だせ」っていきまくところなんだろーけど,わてはそーゆー性格じゃないから,買いましたよ海外から取り寄せで。どーもそのころから図書館に行き届いたサービスをはなからあきらめてるよ。
それに,上司に怒りをぶつけるのが私の望みじゃなくて,その本を閲覧するのが本来の望みなのだし。盗まれて現にないなら,しょーがない,すぐに買い足してほし。それが行き届いたサービスというものだよ。図書館だって犯人をみつけることじゃなくて文献を提供するのが本来の使命でしょ(よく法匪がサカサのこと言う)。
これはもう何年もまえのことだけど,きっと現在までその歴史地図帳は亡くなったまんまなんだろーなー。この何年間か,そこの数千人(数万?)のメンバーは詳細な歴史地理への道をとざされているのだ(笑)。
話もどすと,今回のこれは,かなり期待できそ。というのも,著者の過去の業績がまともだから,ということだけではなくて,これに先行して,一枚物の地図がでてるからなのだ。そーゆー研究成果が下敷きにあるから,まともな本であることが期待できる。
たしか,Tabula Imperii Byzantini(ビザンツ帝国地図)とかいう。LCのOPACでみたら,オーストリアで出版されてるみたい。きっとこれ,Tabula Imperii Romani(ローマ帝国地図)のパクリだね。こっちはLondonで出てるみたい。100万分の1の地図でローマ帝国が地方ごとに再現されているらし。でもどっちも現物はみたことなし。こーゆーマトモで必須の2次文献にすらあたれないから,国内で西洋史なんか(趣味程度でも)できんのだ。
まー,それでも地図帳になってくれれば参照できるというもの。よかったよかった。
でも,図書館はどれくらい買うかなぁ。きっとあんま買わないだろーなぁ。紀伊国屋以外のチラシ(ナウカとか)にはそもそも載ってなかったし。喜んでばかりもいられないか。