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古本オモシロガリズム

日本図書館論争史稿(本邦初?)

協会から届いた「図書館雑誌」みてみたら、指定管理者制度についてドンパチやってる…、ってゆーか、全体は反対論、やむなし論なんだけど、ひとつだけ積極論(日本最初?の図書館の指定管理者)があるという図式。うーん、これって論争になってるのかなー? ま、一応、「指定管理者論争」ということで、論争に認定!
ということで、業界には、それなりの論争とゆーものがあるのですが、これがまた今の人々には明瞭でない。
業界で聖典視される「中小都市における公共図書館の運営」(1963)や、「市民の図書館」(1970)も、それなりの論争をくぐりぬけてきたに違いないわけで…
ただ、佐野真一ルポライター)のいうごとく業界は善意にみちあふれているからか、それとも狭すぎて相互批判がタブーになっているからか、はたまた、館員や研究者の知的貧困のせいなのかわかりませんが(全部だったりして…)、論争について概観する文献がない。
ないなら自分が書いちまおうってんで(笑)
正確には本邦初ではございません。武井権内(タケイ・ゴンナイ)がおりますので。彼の「日本図書館学史」は,学説史であって業界実態史でないので、当然論争についてもフォローしてますです。だたおしむらくは1950年代までしかない。早川図書がリプリントしたものが早川及び古本屋で入手可。早川版は図書館本としては入手しやすいよん(理想社版はかなり珍し。わたしゃ2冊もってるが…)。ところで早川版で誤植があんま直ってないのはなぜでしょう?
日本図書館学史序説 / 武居権内. -- 理想社, 1960
日本図書館学史序説 / 武居権内. -- 早川図書, 1976
とゆーことで、「日本図書館論争史」の梗概なり〜(笑)

○議論名(仮称多し)      ○図式(私の見方)
主記入論争(1932-)   日本目録法 vs. 英米目録法
附帯施設論争(1934)  中田邦造(館界) vs. 松尾友雄(文部省)
国立+国会反対論(1947) 岡田温(日本土着) vs. GHQ占領政策
学術性論争(1952-)   司書課程教員の自己弁明
中立性論争(1952-54)  有山粔(戦前派) vs. 戦後派・進歩派
書誌学はトガクの補助学(1955) 日本書誌学者 vs. 米国流図書館学
図書館法改正反対運動(1953-63) 戦前派 vs. 戦後派
『中小レポ』への反論(1960s)  石井富之助(ストック派) vs. フロー派
読書案内位置づけ(1965-1968) 小田泰正(理論派) vs. 前川恒雄(現場派
国会館長天下り反対運動(1970s) 国会図組合(磯村英一?)
図基法案(1981-82)   高橋徳太郎(永田町) vs. 業界多数派(草の根
館員=労働者・非専門職論(1983) 木村隆美 vs. 図問研
学情批判(1983-)    考える会 vs. 上田修一(目録専門家)
司書よ人事異動せよ(1997) 伊藤浩(事務系) vs. 司書系
歴史認識論争(2005)   関東学者 vs. 関西重鎮
指定管理者論争(2005)  小林是綱 vs. 業界多数派

すみませんが敬称略です。