書物蔵

古本オモシロガリズム

ブラックリストとホワイトリスト

まへふり。

商法改正以前の世界で出世したアナタ→「お付き合い」

1982/1983年の商法改正以前の世界で、あなたが勤め先で総務部にゐたとする。すると面会者がやってきて、御社で雑誌を購読してくれとか広告をだしてくれとかいふ。あまつさへ「もう、出しちゃったから料金をくれ」と言ってきたりする。
雑誌社名は聞いたこともない、あるいは聞いたことがあるような、ないようなビミョーな社名だ。さて、どの程度「お付き合い」すべきか、あなたはハタと困ることになる。
追い返しても大丈夫か、適当に金を握らせるべきか、そうだとするとどれくらい?
そんな場合、判断材料に手許に欲しいものは何か。それが雑誌社、新聞社のリストだ。お茶でもすすらせておいて、こっそりリストを見る。それで、適当につきあったほうがいいかどうか
判断できたら、これは有りがたいリストだろう。

押売りは総務部へ来る

商法改正以前の世界では、いろんな理由でカネをせびる、こういった総会屋、業界ゴロといった手合いがウヨウヨゐて、それらをうまく手なずけたり、追い払ったりするのが有能な総務部員とされてゐた。わちきの考究セル図書館史においても、たとへば国会図書館の総務部が、1978年に「ゴム製マット他七点」を高ーく押売りされて、会計検査院にしかられたりしてをる。
議院運営委員会図書館運営小委員会議録(第91回国会、衆議院)1号 昭和55年01月24日、p.2
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/091/0443/09101240443001.pdf
もちろん、わちきが問題にしたいのはゴム製マットではなく、雑誌・新聞なので話をもどすと。

リストに2種あり

じつはリストには白黒2つの種類がある。すぐ思いつくのは「ブラックリスト」。

こく‐ひょう[:ヘウ] 【黒表】〔名〕注意人物、危険人物の住所、氏名などを記した名簿。ブラックリスト
*改訂増補や、此は便利だ〔1918〕〈下中芳岳〉五・一「黒表(コクヘウ)」
女工哀史〔1925〕〈細井和喜蔵〉四・一二「若し此処から黒表を廻して見給へ、何処へ行っても君は駄目だ」

まあこれは戦前からある言葉で、さらにニッコク以外の系統で調べたい場合に使う、あらかわそおべえを引くと。

ブラック リスト【英 black-list】 黒表。注意人物の名をしるした表。¶「黒律法(ブラック リスト)……『日本社会主義史』1907……

とあり、いまデジコレを引くと、「黒律法(ブラックリスト)」『労働世界』(11)(1898.5)が初出だとわかる。文中では「黒律策」という語も見える。




ニッコクを引くとこうある。

わりとそそっかしいデジタル大辞泉にはこうある。

ホワイト‐リスト 【white list】白表。ブラックリストに対して、「好ましいもののリスト」として多方面に用いられる。よい図書や映画のリストなど。