書物蔵

古本オモシロガリズム

昭和40年代の奇人変人?→有能な司書

ちょっとオモシロな司書を2人見つけた。

  • 悪魔学にとりつかれた図書館員」『週刊サンケイ』18(24)=(948)130-133(1969.6.9)

吉田, 八岑, 1935- || ヨシダ, ヤツオさんは早稲田大学図書館の司書。
「毎朝三時半に起きる。茅ヶ崎の団地から一番電車に乗る」「六時半に職場に着き、勤務時間まで研究に没頭。九時から四時までの勤務が終わると、居残って徹夜することも」と。
そして他人の倍の効率で働き、余った時間を悪魔学の研究に使う。同僚の目黒聡子(24)は「こんな人に出会ったのはじめて」と証言。
吉田, 一穂, 1898-1973 || ヨシダ, イッスイ氏の息子とある。
「将来「悪魔学百科辞典」なるものを世に出すのが、吉田氏の現在〔昭和44年〕の夢だ」そうな。いやあ、最後はレファ本ですか。これは結構な。

  • 「“極学”に挑んだある図書館員No.1にかけた30万件の秘密/石井潔さん(68)、世界一日本一を調べて40年」『週刊サンケイ』14(6)=(712)108-111(1965.2.8)

昭和40年当時、尼崎市立図書館に勤めていた。埼玉県吉川町の生まれだが、旧制八高から京都帝大に進み工学や理学を修め、大阪毎日新聞に入ったところ、調査部に配属。これは大学時代から世界一・日本一研究をしていたかららしい。
 昭和22年に調査部副部長で毎日新聞を定年でやめ、大阪地方労働委員会の資料課長に再就職、さらに26年から尼崎図書館に勤務。膨大なファイリング(未整理みたいだが)を家にためて、カウンターでも答えるようである。
 ところで、両者は似たように見えるけれど、実は対極的な司書である。
吉田さんは「学者司書」。原書を読み込み、論文を書き、それを専門事典にまとめたいという方向。
 石井さんのほうがレファレンスライブラリアンかなぁ。体系はないけれど、ジャンル横断的にトピックを集めて、いろんな疑問に答えていく。
 いま図書館司書の壬申戸籍ともいふべき『全国図書館職員録(昭和30年10月1日現在)』を見ると、吉田さんは出てこんが石井さんは出てきて、当年59歳、整理係の嘱託とあるから、制度上は目録作成のほうで雇われていたみたいね。豊中市岡町在住。尼崎市立は、清掃担当の「使丁」まで入れても9人(うち1人は休職)という小さな所帯の図書館ではあるが、当時としては中ぐらいの規模の図書館であったように思われる。
 ところで国会のデジデジでは、記事のどちらも、うまく見つからんね。吉田さんのほうは、そもそも記事があるのに論題として立項されとらん。石井さんのほうが、サブタイトルが入力されとらんので人名からは引けない。
 わちきは大宅で検索語「図書館員」見つけた。
 オモシロイのは、石井さんは、大宅分類「17-001-005[名人、奇人、ほか]」が付与されており、吉田さんのは、「ワイド特集 この乱世にチャレンジする純粋人間――成田空港農家に嫁入りした全学連女子大生から自説をまげない河崎大使への風当たりまで」といった、やっぱり「奇人」扱いであること。
 デューイなんかも十分奇人であったというけれど、やっぱり優秀な司書というものは、奇人である側面が必要なのではないかと思う次第。
 ん? だ〜れ〜? そういってる人自身が十分さうだと思った人は。
 そんなに褒められても。。。うれしいなりっ!
 ん?(・ω・。)

追記(7.27)

上記エントリをご覧になった方から、ほかにも、

深井人詩(主題書誌)
上田覚(マヤ文明
鹿実秀(仏教)
山本信夫(法律図書館学)
柴田光男(馬琴)
高宮秀夫(レファ論・図書館学)

といった人々がいたのでは、とのご指摘をうくo(^-^)o
不明にして深井ひとし氏しか存じおらずc(≧∇≦*)ゝアチャー
かってあったW大図書館学の流れが重要とつとに指摘しておきながら不明の至りぢゃ(^-^;)