書物蔵

古本オモシロガリズム

『貸本屋日記』という本

以前、伊吹ふみ子『古本屋日記・老残随想』(三茶書房 平成8年)という本*1を読んだことがあったが(http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20050318/p1)それと似た感じ。もちろん三宅は、若いころ、――といっても三十代の頃だけど――、交通公社満洲支社に努めたことがあって、その時、「在満女流文学者」扱いされたこともあるから(青木実さんが書くきっかけをつくってくれたのだそうな「讀書雜記」『北窗』1(1) (1939.5) )、けっこう読ませる。
良いのは、「差別語狩り」が流行る前の時代に書かれたものなので、同時代のフツーの言い方がそのまま出てくるところ。貸本屋の主要な顧客層だった「商店の息子や娘たち、工員さんそれにバタやさんや飯場労務者達」(p.84)といった人たちを活写しているのがよい(だいたい、コーインやロームシャ、バタヤはもはや差別語では???)
ということで、著者は在満女流作家に数えられたこともある人だが、戦後、引き揚げてきてから、戦前同様に交通公社に勤めたんだけど、大陸とは気風がちがくってやになり退職。公社の同僚からカンパをあつめて貸本屋を開業。昭和20から30年代、貸本屋の黄金期の日々をつづったのが、貸本屋日記というわけ。
これまた国会以外、どこの図書館にもないというレアもので、その国会ではNDCを913.6(日本文学-小説-近代)をつけとるけど、こりは914.6(日本文学-随筆-近代)が正しい。

1904(M37)東京に生まれる(7月)
1923(T12)この頃??? 結婚
1938(S13)交通公社在満支社に勤める
1949(S24)上旬? 貸本屋を始める 大田区?T町
1958(S33)上旬 Y町に貸本屋移転
1962(S37)10月 貸本屋をやめる(この時58歳3カ月とある)
1966(S41)貸本屋日記(10月)

このまえ、めづらしく古書目録に出たので注文したら、はずれてしまって悲しいのだ。。。
ってか、はてなにもうひとり、はずれたひとがいるかも。。。
かきかけ

*1:この本、どこの図書館にもない。。。