書物蔵

古本オモシロガリズム

長澤規矩也が図書館員を叱る!

ほかにも書き物あまたあれど,最近友人が購求せるオモシロ図書館本をつい繙く。じつはわちきも去年,安く買ったのでツンドクしておいたのだ。
図書館と社会. -- 武田虎之助先生古稀記念論文集編集委員会, 1970
長澤規矩也が吼えている。

今日の図書館界ではサービスということが口や筆で説かれているわりに,真に,利用者のためのサービスが行われていない(略)早い話が日曜休館がそれ。これについても,いち早く,武田(虎之助)さんは,職員養成所でこう説かれた。(略)日曜休館を叫ぶ館員の家に対する電気ガス水道の日曜の供給を停止してみると,かれらが理解しようというのである。

武田虎之助は,こう言ったとも。

「以前,わたくしは,本を読みたいから職員を志望するという人たちに,本を読んでばかりいては整理はできないと戒めていたが,近ごろは本を読まない職員が多くなったから,逆に本を読めといいたい」と(略)。実際,そうのとおりである。本に興味を持たない職員がいるにはあきれた。武田さんの訓辞はまさにそのとおりである。執務時間中の個人的読書はもとよりすべきではないが,分類をする際に,内容を拾い読みしてすばやく大意をつかみとるということは,館員にとってまことにたいせつな読書技術である。個人的読書にしても,昼休みの時間中とか,執務終了後とか,一般人に比して館蔵の図書を読むことがたやすくできる。書物と深いつながりを持たないような人は館員の資格はない。

んでも,またもや本を読まない図書館員を卑しむのが目的で繙いたのではなかった… 波多野賢一伝が重要なのだ。もちろん,彼自身も重要だけど,それ以上に,東京市日比谷図書館の派閥争いについて書いてある!(つづく)