書物蔵

古本オモシロガリズム

司書のエラサの歴史(2)

エラサ(1)で,書物語辞典に「官立図書館には司書官がいて云々」という書き方がされてたけど,ありゃあちょっと不正確。
というのも,官立図書館っちゅー表現をつかうと帝国図書館のことを指すことになっちまうから… だから「(官立の)帝国大学附属図書館には司書官がいて高等官」って表現にすべきだったのだわさ。

訂正
書いた翌日,「帝国図書館年報(翻刻)」をパラパラみたら,ちゃんと官立図書館(=帝国図書館にも,「司書官」がおりました… 知らなんだ(^_^;)アセアセ...
ちょうど2名いる(昭18)ことと,この記事末尾の帝国図書館組織図に部が2つあること,部長が高等官という証言が「こんだん会資料」にあることから,部長がそれぞれ司書官だった可能性がたかい

そんで,帝大の司書官についてはまた書くとして,本を整理してたら,本来の意味での官立図書館の図書館員さんたちのエラサが載ってたんでここに書いてみるっす。
その本っちゅーのは,漢字タイプの簡易印刷のもの。
上野図書館の経験を語る. -- 国立国会図書舘業務こんだん会, 1967. -- (国立国会図書舘業務こんだん会資料 ; 第5号)
帝国図書館については,『八十年略史』という正史があるから,そっちにも当然,役人のエラサ(官制)は載っているはずだけど,こっちの裏面史もとってもオモシロイよ。帝国図書館について語るのに,この本をはずしてたら,そりゃーシロウトだわさ。
上野の古参館員数名に自由に語らせるというもの。ただし発言者は匿名。

 身分制としては,出納手と監督は傭,出納職員は雇員,係長は判任,部長は奏任,館長も奏任(後に勅任)であった。A君の時代には,主事,主事補制がしかれ,出納手も二種あり,出納手(用人)出納手(主事補)となった。p.2

なーるほど。ちょっとわかりづらいけど,館長,部長さんは一応,高等官だったのね。文中の「(後に勅任)」ってのは,経験年によって勅任扱いにあがるってことなのかな(´・ω・`)
久しぶりに読んだけど,やっぱり出納員内部の「封建制度」について賛否両論というところかな(先輩によるシゴキ)。