書物蔵

古本オモシロガリズム

レトリックと実態史は分けて論じたほうが

これを読む。

  • 福井佑介. 読書装置に関するレトリック:公立図書館・貸本屋・「無料貸本屋」. トポスとしての図書館・読書空間を考える (図書館・文化・社会 ; 1). 相関図書館学方法論研究会 編著. 松籟社, 2018.4, p.75-106

やや期待はずれ。主因は「貸本屋」の実態史とイメージ史のどちらかに主眼を置き損ねているところと見た。そもそも近代貸本屋研究は始まったばかりで、なおかつ、近代については通史もなく、図書館論の材料としてもってくる段階ではないような…(゜〜゜ ) わちきがやるんだったらむしろもっとバッサリと実態史は切り落としてしまい、現在ただいまのオジサンオバサンのイメージする罵倒語としての「無料貸本屋」の伽藍をたててみるだろうなぁ…。
あと注58の、日図研は学術団体で運動体でないという―安井一徳「無料貸本屋」論論への批判ないし弁護だけれど、わちきにいわせるとまさしく、一部の「研究会グループ」が極左冒険主義みたいなことを言ひ出して、それがそのまま界にのっちゃふ、ということ―「おかしな意見に負けないようにしよう」事件―や、イトガッチなぐりこみ事件などに象徴されるような関東圏学者への不公平な取扱いを見るに、やっぱり、もっとちゃんと学術団体らしく学問的である反省は必要だと思うよ。