書物蔵

古本オモシロガリズム

B-29が飛んでいるといふのに…(大日本帝国にBUNSOKU!)

B公が来ているといふ時期に出た稲村耕雄さんの十進分類法の本に、なんとまあ犬丸秀雄さんとおぼしき消息を伝える記事がありびっくり。

科学の研究と教育のために、文部省が科学者を動員して計画的な翻訳をはじめたことは、出版界の自由企画に放任しないことをもつてこのやうな〔「語学力の低下による支障を補ふ」という〕重要性を持つてゐるが、さらにこの仕事に優位を確保し、光をそへるものは海外に派遣されてゐる科学情報員による最新刊の原書の蒐集と直送である。(『研究と動員』稲村耕雄 日本評論社 1944.12.20 p.150)

かうしてみると、谷沢永一氏がいふやうに、出版年は年だけでなく年月日を入れたほうが、よいね。もちろん出版法の効力が停止された1945年9月あたりから日付は必ずしも正しくなくなるし、それ以前でも、内務省への納本の奥付を見ないと(流布本では日付が直されていないことがある)いけないんだけれどね。でもこれはさすがの谷沢氏も指摘していないのでは。