書物蔵

古本オモシロガリズム

日本地政学

ある事情から、オタどんのマネをして、皇戦会がカネを出した「吉田の会」(京大系の地政学者の会)についての文献を読んでみる。ちなみに東京にあった「日本地政学協会」とは無関係とネットにある。
http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/geo/pdf/space04/05murakami.pdf
大阪市立大学地理学教室の紀要、『空間・社会・地理思想』(http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/geo/Space,%20Society%20and%20Geographical%20Thought.htm)4号に載ったもの。
皇道主義にもとづいた皇国地政学が、いったいなにをやっておったのか、とゆーことがわかる。
この文献は、唯一の生き証人・村上次男さんの自伝『回想は続く』(私家版1993)からの部分転載と、インタビューまとめで成り立っている。
村上さんによれば、単行本に書いているような神懸り的なことはむしろ外向けの宣伝にすぎず、実は、兵要地誌(軍事目的の地理分析)をやっていたという。シンガポールは陸側から攻めるとよいとか。なーんだ、ある意味、ぜんぜんマトモじゃないの。残念…
また、皇国地政学の親玉とされる小牧実繁も、実は研究にはそんなに熱心ではなく(・∀・) 人集めなど、マネジメントをやっていたらしいとか。小牧が地政学にめざめたのは、一説に「神のお告げ」(゚∀゚ )アヒャ 、といわれとるらしいが、実際には室賀, 信夫(1907-1982)||ムロガ, ノブオ(戦後はナント、古地図研究家)の示唆ではないかとも。
小牧と陸軍と、さらに「皇戦会」を結びつけたのは、川上, 健三 (1909-1995) ‖カワカミ,ケンゾウではないかとしているところはびっくり(+o+) なぜって、この人、あの有名な『竹島の歴史地理学的研究』(1966)の人だったのだ。韓国あたりにまたトンデモな妄想を生んでしまう予感…(・∀・)
「吉田の会」は軍部からカネもらって丸善から洋書買いまくり。ただそのコレクションは敗戦後みな売って新聞社に寄付してしまったという。
この紀要の6号でも「吉田の会」の史料が載せられているから、皇国地政学については、大阪市立が研究の中心とみてよろしいか。
うーむ(゜〜゜ ) 地理学そのものはともかく、地理学史はオモシロだのー やっぱり次は「人生地理学」でも研究してみようかの。あの牧口, 常三郎 (1871-1944) ‖マキグチ,ツネサブロウの。