書物蔵

古本オモシロガリズム

林達夫の本名は

  • 木本至「1937年の風景(古書)」」『出版ニュース』(2468)p13(2017.12下旬)

治安維持法での前科がある林房雄(本名:後藤寿夫)が日支事変で昭和12年上海に従軍記者として行った時の話を照会している。
林が現地の憲兵隊長(塚本誠大尉)に、最初の挨拶として「僕は治安維持法の前科二犯です。現在は全然その方と関係ありませんが」と言ったところ、塚本大尉は、「ほう、さうですか。」と「とぼけ顔をつくっていたが、やがて笑い出してこんなことを言ったという。
「いや、よく解りました。身体を大切にして、大いに働いて下さい。君の本名は後藤君でしたね。」と。
要するに前科2犯を含んだ詳細な身上調書が現地の憲兵隊には事前にまわってきていた、というわけ。
そーいや、いま神保町の東京古書会館2Fで展示中の書籍企画届には、林達夫のことがいろいろ書かれてゐたなぁ(σ^〜^)