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古本オモシロガリズム

『現代思想』の図書館特集

雑誌『現代思想』の図書館特集、あらあら読了。
https://www.amazon.co.jp/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%80%9D%E6%83%B3-2018%E5%B9%B412%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E7%89%B9%E9%9B%86-%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E3%81%AE%E6%9C%AA%E6%9D%A5-%E5%B2%A1%E6%9C%AC%E7%9C%9F/dp/4791713745
全体の感想としては…

総論や前書きがないのは困る

総論が無いので議論の新しい段階が見えづらいなというもの。「図書館の未来」という総括タイトルはちょっとワイドすぎる。各論タイトルをみると「民主」とか「公共」とか多いので、図書館と民主制、公共性がお題のようにも見えるが…
基本、1970年代の中小レポート的、市民の図書館的な貸出至上主義(経営の手段)が行き詰って現在の経営の外注化や無料貸本屋批判が出て来たのに、民主主義などというそれ自体公理として疑いづらい(呉智英あたりを読め)枠、経営より上位の政治信条を持ちだすと、議論がつまらなくなってしまうのでは。
なぜいま図書館評論が出て来たのかがわかんなくなっちゃう。悪くすると、みんなで民主主義万歳で終わってしまう。まさか無条件で万歳する人もおるまいだろうが… わちきなぞ間接民主と直接民主で全然違くなると思ってるが。
そういえば呉智英先生による「ブックディテクションの民主性」論争があったなぁ…(*゜-゜)
中で見通しが良かったのは、一番末尾にあった福島幸宏の論。あえて図式でやる、と宣言しているからでもあろうが、自己の立ち位置を柳与志夫の知識経営論(館を、知識・情報提供の拠点とみる)の上にたつ、と闡明していてわかり易い。
ってか、これ、巻頭論文にしたら他全部、わかり易くなったんでないの(´・ω・)ノ
※追記:森サンの話では巻頭の座談などが総論の代わりになるとぞ

ウラ主人公は柳?

オモテの主題が民主制や公共性とすると、ウラの主題はなんだろう?と思ったら、2000年代の千代田図書館なんだなぁ。各論の各所にホメられたりディスられたりしてる。そういう意味ではウラ主人公は柳与志夫なのか…
また各所で、今の形の(=貸出至上主義の)図書館はここウン十年でしかない、ということが繰り返し書かれているんだが、それだったら、同じ人物が編者の『公共図書館の冒険』を読むのが近道…(゜~゜ )
https://www.amazon.co.jp/公共図書館の冒険-柳-与志夫/dp/4622086824/
各論の感想はそのうち…