ほほぅ、投稿雑誌が、同人雑誌月評を始めるのださうな。読者層から言って自然な流れなり。-「同人雜誌批評」『文藝 : 純粹文藝雜誌』4(3)p37(1926-03)
今日同人雑誌(4字傍点)がどの位あるか知らないが、とにかく盛んなことは事実である。それでゐて同人雑誌は割合に冷遇せられてゐる。尤も去年あたりから同人雑誌も可成り力強いところを示して来たから、或る一部の人の云ふやうに、本年などはもっともっと発展するかも知れないが――。それはさうとして本欄を設けて誌友諸氏に開放する目的をかいつまべば、実際今日の同人雑誌の中で、相当の待遇を受けてゐるものはほんの数へる程しかない。而も大抵は東京及びその周囲に限られてゐる感じがする。
そこでこの欄は専ら地方の同人雑誌(7字傍点)のために出来るだけ開放したい。だから地方の誌友(2字傍点)で、或はその他の人たちでもいゝ、同好の士との間に出来た雑誌を送って下されば出来るだけ公平な月評(2字傍点)を下したいと思ふ。又誌友の方々で月評したものを送って下さっても結構だ。同人を募るやうな場合は別に設けてある文芸案内欄(5字傍点)を利用して下さればいゝ。
これは手前味噌かも知れないが大層便利な企だてとも思ふ。たゞこれを利用して下さるものが誌友なり地方の同人誌〔ママ〕の諸氏だから、出来るだけ利用して頂きたい。雑誌を送って下さる場合には「文芸社月評係」としてもらうと整理する上に好都合である。又同人の氏名(5字傍点)などもご報告下されば随時発□〔1字欠〕したいと思ふ。(M・K生)
M・K生ってのは誰だろ?
オモシロいのは、すでに大正15年に「同人誌〔ママ〕」なる縮約形がチラリと――ほかはみな「同人+雑誌」――みせとるとこ。
一般に戦前は、複合語で何とか雑誌を「ナントカ+誌」と呼ばないのが普通だからね(o^ー’)b