書物蔵

古本オモシロガリズム

竹前栄治『GHQ』(岩波書店, 1983)における電話帳

 日本人ならば(?)GHQの名を知らん人はおらんだろう。「ギンミーチョコ」の世界ぢゃ。それはともかくわちきも若かりし折、教養を深めんとてフツーに岩波新書を読んでたら、この本に歴史研究、組織研究における電話帳の効用について言及があったことを覚えている。

GHQの制度を調べるうえで〕とくに私が困惑したのは、GHQ自身が書いた「日本占領の非軍事的活動の歴史」などのいわば「正史」というべき資料と、同じGHQが発行した「電話帳」とでは組織編成、および、課・係・班の設置と廃止の年月日などがかなりくい違っていることであった。電話帳では、民間諜報局(CIS)は、一九四六年六月以降廃止されているのに、前期「正史」の組織図では一九四九年まで存続したことになっている。(略)本書では、電話帳の方がはるかに信頼度が高いと考えて(以下略)(p.ii)