書物蔵

古本オモシロガリズム

蒐書家人名事典の提唱及び作り方について 3 人名情報の中身

人々の情報とはなにか

あるツイッター主さんが蒐書家人物事典につきてかようにツイートしとった。
https://twitter.com/NIJL_collectors/status/460792517588303872

人名

標目には、できれば本名を採用。なれどできるだけ、雅号やペンネームを採録し、人名索引から引けるようにする。できれば、特定雑誌における担当名――というのかな――のようなものも。
例えば日本古書通信において八木福次郎さんは「(Y)」という名前でたくさん書いているが、こういったものも、引けるような事典がほんとうにいい辞典。処置としては、人名索引に立項する際、

Y -- 日本古書通信 → 八木福次郎
Y(氏) -- 古本おもしろがりずむ → ○○○○

といったように、どの雑誌に出現するものなのかを限定子として付加するようにすればよい。

勝田,三蛮(カッター、サンボーン) → 稲村,徹元

こういった変名を拾うのが重要なのは、蒐書家というのが本来、職業的研究者でない傾向にあるから。趣味の延長で研究し、あるいは書き物をする(=著者名として資料に出現する)にしても、誰か他人によって言及されるにしても、蒐書活動というのはおおいばりで誰にでも明かせるようなことでないことが多い。原因はふたつあって、たつきをたててる領域と蒐集対象の領域がズレることが多いのと、蒐集対象が、同時代的には無価値か、ともすると積極的にマイナスの価値を持っている傾向があること。ひとむかし前の日本では、プライバシーちゅうものがなかったんで、酒や女に蕩尽するのは会社で許されても、趣味というのは許されんかった。また、趣味者というのは時代にさきがけて(というか本当は無関係に)同時代的には無価値なものを集めるのがよいので、まわりが蒐集に好意をもちバックアップするなんちゅーことは、ないのが普通。ということで、本名を使わない傾向にある。
もちろん、しゃれてペンネームを使う場合もあろうが、かの勝田三蛮だって、職業が司書で、古本など業務そのものであろうのに、「いろいろまはりがうるさいから」とて、ペンネームを使ってたと、これは直に聞いたことぢゃったよ。
日本古書通信を読んでおって、

はて(。´・ω・)? この勝田三蛮って誰だろ? 図書館やら書誌、さてまた国会図書館の内部事情にさへくわしいが、わちきの蒐集中にある『国立国会図書館職員名簿』にぜんぜん出てこんよ(=゚ω゚=)

と思った場合に、来るべき「蒐書家人名事典」を、「かつた」で引いたらば、

ははぁ、こりゃ、いなてっちゃんね。どーりで詳しいハズだわぁ( ^∀^) なになに、昭和23年末に国会に就職とあるぞ、さうか、なればこそ月の輪さんから買った昭和28年12月1日現在の「名簿」にも「受入整理部収集家主事」で出とるね(σ・∀・)σ 課長はあの、納本制度を創った山下信庸かぁ(・o・;)

ということがスグわかるようでなければならん(*´д`)ノ
つづく