書物蔵

古本オモシロガリズム

図書館本2冊:根本彰vs.伊藤昭治

きのふ、酒飲みにいく車中でこれをほぼ読了した。

理想の図書館とは何か: 知の公共性をめぐって

理想の図書館とは何か: 知の公共性をめぐって

この本、出たと聞いて神保町のどこ行ってもなくて、しばらくしてやっと岩波で入手せるもの。

タイトルが

最初、「タイトルと中身がちがうネ」といふ評判を聞いて、どうなんだろ、と思っていたけど、まぁ確かに違う(σ^〜^) いや、中身が悪いというわけではなくて、中身は「今までと今の図書館、その政策課題」みたいな感じ。「理想の図書館」っちゅーと、なんだか新しいヴィジョンの提示みたいな印象になっちまうから、「ちがうネ」と云はれてしまふ。まあ堅実な書きぶりなんだけれど、気になったところだけメモ。

ヒルズ図書館

六本木ライブラリーを「交流よりも勉強」と要約してしまっているが(p.44)、どうだろう。たしかに勉強部屋ではあるけれど、フツーの貸出図書館よりは交流できてるんぢゃあないかしら。資料提供機能は、この本にも書いてあるように、貸与権が図書にも拡大されちまったンで、私立公共がそもそも成り立たなくなってしまったという日本の国法の問題で、ヒルズ図書館の事業コンセプトではないのでは。むしろ、本を買って帰れる図書館というコンセプトは評価すべきでは。

貸出至上主義にかはるもの

これ〔貸出至上主義〕に対抗する理論は一九七〇年代から九〇年代にいたるまで一度も試みられたことはない。(p.112)

というのは、書きすぎ、とゆーか間違い。昼間守仁さんを忘れてしまっては困りますなぁ(・∀・`;)

論争の起源はバブル前
http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20071018/p2

昼間さんの論理は、十分、貸出中心経営に代わるものだったと思うよ(だって、いま改革派の先生方が言っていることそのままヂャン)。だから話題にもなった。ただ、広まらなかっただけ。
次の本にも出てくるぐらいの話題性はあったのだわさ。

  • 現場からの図書館学 / 伊藤昭治. -- 女性図書館職研究会, 2011. -- (シリーズ私と図書館 ; no.5)

伊藤先生は男性なのに女性図書館職研究会とはこれ如何に、なんちゅークダラヌつっこみはやめといて。
根本先生の本、ちょっと自分の文献ばっかあげすぎ(σ^〜^) まぁ気持ちはわかるケドね(・∀・)

日本図書館史学史

P.170に「森・石井・前川の歴史観」とて、ナントまぁ日本図書館史学研究史といふか、史学史が書いてある。正確には、a history of library history studies in Japanであって、a history of Japanese library history studiesではないんだが。これは図書館史にキョーミある人(って、日本に10人もおらんか(σ^〜^))は必読かすら。