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古本オモシロガリズム

『著作権台帳』の復活!?

三田先生が、先生いうところの「無料貸本屋」の頭目、国会図書舘にデータ(おそらく名称典拠)の提供をお願いするという、いささか皮肉なプロジェクトがあるという(id:myrmecoleonさんによる)。
■「相当の努力」の話。または著作権者データベースと裁定制度について
http://d.hatena.ne.jp/myrmecoleon/20070903/1188826692
内紛でぽしゃったとされる『著作権台帳』とまったくおなじコンセプトの事業をネットでやろう、ということらしい。ん? 『台帳』の編集著作権者の許諾はとったかな? 内紛があったからといって、尊い著作権は消滅しとらんはずだよ。それとも冊子とネットじゃ権利がちがうのかしらん(゚〜゚ ) まさかプロジェクトが始まってから『台帳』の権利者に親しく訴えられることになりはすまいね。
ほかにも付随していろいろ思うところがあるなぁ。

「相応の努力」って、何円?何日?

現行の裁定制度にかける前提の、「相応の努力」(著作権法67条)が、どれほどの手間ヒマ金額なのか、コンメンタールだか行政解釈だかにあるのかどうか興味あるなぁ。
まあもちろん、納本拒否の過料みたいに前例が0件の制度でなく、実績のある制度なわけだから、解説がなくても裁定の過去事例をみれば、おおよその相場はわかるはずなんだけどね。

ちなみに

昨年のことなんだけど、戦時中に出版された図書館本を全部、某図書館にコピーさせようとして著作権継承者を探したことがある。
著者は出版物の上では没年不明の人物。
結局、特殊なレファ本(古いものと新しいもの)をかけあわせ、探偵まがいの活動をしたうえに、偶然、善意の人とめぐりあうという奇跡もあって、連絡がとれたのだけどね。
2ヶ月かかったよ。
調べ物が趣味のうえに、特殊なレファ本の存在を偶然にも知っていたからできたことだし、それも、善意の人がたまたま返信をしてくれなければ糸は途中でぷっつりと切れていたといえる。
これなんか、「努力」が成功したからいいようなものの。まぁ、フツーの人には雲をつかむようなハナシ。

つぶれないかなぁ?

『台帳』はまったく同じ事業をしていたわけだけど(実は途中、音楽著作権についてもデータを集めてたことがあった)、データのメンテにかなりカネがかかり、実は収益はトントンで、お家騒動で、何十年も続いた事業がとたんに潰れちゃったわけだけど。
その例からいえば、経済的にはかなり脆弱なものにしかならないような予感。
きちんとデータの更新をしつつ、何十年、あるいは100年200年と、ちゃんと続くかどうか疑問だなぁ。
できました!つぶれました!
というのであれば、サイトじゃなくて冊子のほうがまだ後世の役にたつ。
それこそ無料貸本屋さんが末永く活用してくれるはずですよ。
いや、べつにつぶれるのを期待しているわけじゃありません。これほんとにほんと。

おもいつき

音楽・映像については実績がありこわもて(で収益をあげて存続しそうな)JASRACにやってもらって、(もうかりそうもない)文字文字君は国会図書舘にやってもらったらどうだろう。
いま、国会の名称典拠の、附記事項(生没年)が中途半端なことになっとるのは、それが単に、文献世界の中での同定の意味しかないから。
これが昔のLCよろしく著作権管理と関連付けられて法定されれば、もっときっちりしたものになるにはなるだろうなぁ。