昨日はめずらしく時事ネタでlibrary humorをたのしみました。記事文の片言隻句から,図書館史的にタメになる笑い話をひきだすことができ,まったく図書館オタクの本懐でございます。
長山靖生『おたくの本懐』(ちくま文庫)を買い,これは奇書なりと喜んでいたら,なんとそっくりな主題の本がすでにありました。古本合戦のさいに見せていただいて,これはおなじ主題だわい,と得心。こちらもおもしろそうです。
斎藤昌三『変態蒐癖志』文芸資料研究会 昭和3 (変態十二史附録 第3巻) ほ,ほしい〜
タイトルに変態とありますが,H(えっち)や助平(すけべ)のことではありませぬ。変態がなとかの,本来の意味での変態です。余談ですが変態からHへの移行は,性の用語集 / 井上章一, 関西性欲研究会編. -- 講談社, 2004. -- (講談社現代新書 ; 1762)を参照のこと。
これらの本の奇書たるゆえんは,その主題と観点にあります。長山の元版タイトル「コレクターシップ」でわかるように,ものを集めること一般に迫ろうとした点です。趣味人ならば,自然とやることなんですが,意外とこのことについて述べた単行書はないのです。
Collector-ship とは,「集めて,並べて,立ち上げる」ことと定式化できましょう。
無価値なものを集めて,それらを分類し体系化することにより,新たな価値を立ち上げるということでございます。本の置き場(bibliotheca)ってのは,そのよい例なわけであります。(ところで辞書に,bibliotheca の複数形は,bibliothecae とある。気を付けないと)
附.予告 乞うご期待!
自分でわすれないように,この先のブログ記事の予約だしときますです。
図書館は図書館か?:ちがうのだ。本屋の見本展示室なのだ。その活用法と欠点。
買ったあとに同じ古本が見つかるという法則:これがあたりまえの由縁
本の帯はホントに腰に巻いていた:スカートではなかった
買うのが本当にむずかしい古本:法律実務書 10年かかった本
自由委員は見ちゃダメ!:「図書館の自由」の錯誤,船橋西の最中に考えたこと
総合目録という訳語:訳語「連合目録」の正しさ
エロDVDの総合目録について:アメリカ文明の偉大さ,あるいは米国図書館学の普遍性
教科書にかいてない図書館業界の構造:館界,学会,大学,学校,公共,図書系・事務系
教科書にかいてない整理技術:整理区分ってなに?
資料保存の盲点:除籍本のゆくえ 文化史的観点から図書館の罪について
資料保存の盲点:学生反乱と図書館
比較からしか一般は生まれない:比較分類学の継承 NDCとNDLC併存の意味
典拠ファイルの本質とは:コントロールの対象は?連合典拠の不可能性,人名辞典との混同