書物蔵

古本オモシロガリズム

戦時図書館本はオモシロし

『起原』もそうだけど,大東亜戦争中にも書物趣味をくすぐるいい本がかなりでてる。本の本なんか特にそう。小野則秋とか。いま注目してるのは
本の話 / 鳥生芳夫. -- 健文社, 1944.11
これ,ある古本屋にあったんで立ち読みしたけど…。おもしろい。というかこれ書誌学・書物趣味系かと勝手に思いこんでいたんだけど,完全に図書館本。
主題はたしかに図書全般なんだけど,書きっぷり(観点)が図書館学的なんだわさ。沓掛伊佐吉の書きっぷりも書誌学にあらず図書館学だって,ある協会本でお弟子が書いてたみたいに。
おもしろさは特に「検閲」のところ。旧憲法下での話題がいいね。著者によれば検閲はおかしな本がでるのを未然にふせぐ機能があるそうな。なーるほど。そういう考えもあるかも(笑。でもそうすると,と学会が困るだろうな。
さらにさらに,モノ不足で本もなかなか出せないが,逆にどうしても出したい本ばかりになるからイイ本ばかりになるとか。やせガマンかもしんないけど,実際にこの時期,本の本はイイものばかりだから妙に説得力あったりして(汗。
このリュウ・ヨシオさんは全然有名じゃないなぁ(一応,このブログに断りナシにでてくる人物は,読書人や,すくなくとも図書館業界内ではそれなりの知名度のある人なんすが)。
戦後も同じタイトルで本だしてるけど,きっと,いま言った「おもしろい」ところは軒並み削除されてるんだろうなぁ。昭和19年のも欲しくなったけど,戦後のも是非ほしいな。戦前版は,じつは古本屋でかなりよく見る。戦前の本の本ではもっともよくみるといっていい。よっぽど大切にされたのかねぇ。ある古書店じゃあこの本3冊もあったよ。